ワイヤレス充電器も市販開始を目指す
BMWグループがクルマの電動化に向けて積極的な動きを見せている。5月にはダイムラー・グループ、フォルクスワーゲン・グループ(VW)、フォードと共同で展開する充電ネットワーク「IONITY」用の急速充電器を発表。これは6月にドイツ・ハノーバーで開催されたITビジネスショー「CEBIT」で初公開されたもので、未来を感じさせる美しいデザインで仕上げられている。
この急速充電器は最大350kWの出力を備えており、ヨーロッパ規格のコンバインド・チャージングシステム(CCS)に対応。日本で展開されているチャデモ規格の急速充電器の約7倍、現在のCCS充電器の約1.75倍となり、それだけ短時間での急速充電が可能となると思われる。BMWは’20年までにこの新型急速充電器を400カ所に設置する考えで、IONITYのネットワーク拡充を図っていくことになる。
現在、チャデモの急速充電設備は日本と欧米で約1万8000カ所、CCSはヨーロッパ主体で約7000カ所とされているので、400カ所は大きくない数字だが、この新充電器の充電スピードが実用域で格段に早ければ、普及に弾みがつく可能性は高い。実用化はまだ先だが、欧米の巨大メーカーが進めるこの計画がどう進んでいくのか目が離せない状況だ。
ケーブル充電とほぼ同等の最大3.2kWの出力パワーにより充電可能。車載センサーが正確な位置にクルマを停められるようサポートする。
また、BMWは同時期に新たなワイヤレス充電システムの市販化を発表。こちらは自宅車庫などに置いて使用できるもので、充電ケーブルをつながなくてもクルマを充電器(グラウンドパッド)の上に駐車するだけで充電可能となる。出力は3.2kWなのでEVのフル充電にはかなり時間がかかるが、まずはプラグインハイブリッドのBMW530e用のアイテムとして発売される。7月には生産を開始し、日本にも導入される予定だが、非接触式のワイヤレス充電の使い勝手や機能とはどの程度なのか、興味を示す人も少なくないだろう。
EVをはじめ電動車両の普及にはバッテリーのさらなる進化と充電インフラの充実は欠かせない。BMWの電動化の姿勢がその動きに拍車をかけることになるのか。今後の動きが楽しみだ。