燃料電池トラックをセブン-イレブンに納入。スズキにはデンソーも加わって技術支援
コンビニの配送トラックは24時間体制で活用される場合も考えられるので、充電に数時間かかるEVよりも、タイムロスの少ないFCシステムが採用された
トヨタ自動車が多方面のコラボレーションに力を入れ始めた。昨年8月にはセブン-イレブン・ジャパンと物流に関する提携を発表し、燃料電池(FC)小型トラックの活用などの検討を進めてきたが、ここにきて共同プロジェクトが具体化。トヨタ製FCトラックの活用に加え、セブン-イレブン店舗に燃料電池発電機や、ハイブリッド車の廃バッテリーをリサイクルした定置型蓄電池の導入などを進め、物流から店舗運営まで二酸化炭素削減に向けて取り組むことを表明した。
2万店を超える店舗を抱えるセブン-イレブンにおいて、こうしたFC活用、蓄電池活用が広がれば、たしかに二酸化炭素削減効果は小さくない。食品廃棄問題、24時間営業による電力使用増大に加え、最近では人手不足による労働強化など利便性と引き換えにさまざまな問題も表面化しているコンビニ業界だが、一方で各社とも環境対策では先進的な取り組みをしてきており、今回のFC活用などもそのひとつと見ていいだろう。
トヨタはほぼハンドメイド状態で製作したFC小型トラックをセブン-イレブンへ提供。停車中でも排ガスを出さずに冷凍冷蔵機能を維持できる特性をアピールしており、これを期にFCトラックでの配送が増えていく方向性にも期待したいところ。このFCトラックはミライのFCシステムを搭載しており、製作にはかなりのコストも要するが、なかなか需要の伸びない水素燃料の活用にもひと役買ってもらおうという目的もある。今回のコラボでは岩谷産業などエネルギーメーカーの参画はないようだが、まずは水素を消費する下流での需要を高めることから始めようという考えだ。
トヨタはスズキとの提携に関しても具体案を示し、デンソーも加わって超小型高効率パワートレインの技術開発を支援。インドやアフリカでの協業も含め、幅広い分野での共同プロジェクト推進を進めていく構えだ。巨大グローバル企業と、小型車作りでは世界有数のスズキとの協業は他のメーカーグループにとっては脅威であろうし、さらに国内軽自動車市場ではしのぎを削るダイハツとの間接コラボも視野に入ってくる。大メーカーが中小メーカーを呑み込む旧来とは違った方向での再編や、流通企業とのコラボも進めるトヨタの動きには各方面から熱い視線が送られている。