寒風山パノラマライン(No.022)
空中散歩の気分で360度のパノラマが楽しめる。
なだらかな海岸線が続く東北の日本海側にあって、一か所だけ海に向かって大きく突き出ているのが男鹿半島である。その付け根にそびえるのは標高355mの寒風山。寒風山パノラマラインはこの山頂間近を東西方向にゆったりと横切っていく。
東の内陸側から山頂直下の妻恋峠をめざして登っていくと、しばらくは木立に囲まれた見通しの良くないコーナーが続く。しかし、峠の2kmほど手前で視界は大きく開け、緑の草原に覆われた寒風山が目の前に姿を現す。そこから先は距離こそ短めながら、まるでビーナスラインややまなみハイウェイのような風景が展開。一面の緑のなかを気持ちのいい道が延びていく。

寒風山は約2万年前に生まれた小さな火山で、土地の保水力が低いため、背の高い木はほとんど育たなかった。そのため、古くから屋根を葺く茅や牧草の採取地として利用され、今でも毎年4月上旬には恒例の山焼きが行われる。阿蘇や美ヶ原と同じように、この寒風山もまた、自然の姿に人々の生活の営みが加わることによって維持されてきた美しい風景なのである。
さえぎるもののない山頂付近からは、男鹿半島や八郎潟の干拓地、南北に大きな弧を描く日本海の海岸線が眼下に一望。遠くには山形との県境にそびえる鳥海山、青森との県境に連なる白神山地も浮かび上がる。まるで地形図をそのままジオラマに仕立てたような360度の大パノラマである。
ご当地情報

★メインカット撮影ポイント
A:寒風山回転展望台
13分ごとにぐるっと一回転360度の展望が楽しめる

山頂上にある展望台。1階はレストラン&お土産コーナーで、2階から上は有料(入館料540円)の展示&展望施設になっている。4階の回転展望台は所要時間13分で1回転。レストランではご当地グルメとして人気の“男鹿しょっつる焼きそば”も味わえる。
●8:30-17:30/無休(冬季休館)/男鹿市脇本富永字寒風山62-1/Tel:0185-25-3055
B:男鹿桜島リゾートHOTELきららか
日本海の夕日と掛け流しの湯を満喫する

HOTELきららかの露天風呂は、近くの海岸に湧く55度の源泉をそのまま掛け流し。泉質はもちろん、夕暮れ時の眺めもすばらしい。男鹿半島ならではの海の幸をたっぷり用いた料理も自慢。周辺は磯釣りのポイントとしても有名で、釣りを楽しみたい人にもお勧め。
●1泊2食付12,500円(税別)から/男鹿市戸賀加茂青砂字中台1-466 /Tel:0185-37-2311
C:入道崎 海陽
トギナシはたはた寿司はここでしか味わえない逸品

男鹿半島の北端、入道崎にある海陽の名物がトギナシはたはた寿司。特産のハタハタを3枚におろし、米麹などで
2週間漬け込んだ“なれ寿司”の一種だ。トギとは骨のことで、小骨を手作業で丁寧に取り除き、食べやすくしてある。土産用(1パック1,620円)のほか、店頭ではこれを香ばしく炙った丼(写真/1,620円)も味わえる。
●9:00 ~17:00 /無休/男鹿市北浦入道崎昆布浦2-71/Tel:0185-38-2530
D:大潟富士
標高は3776ミリ、干拓地の日本一低い山!?

昭和32年(1957年)から20年もの歳月をかけて行われた八郎潟の干拓事業。これにより生まれた大潟村のシンボルとして、1995年に築かれたのが大潟富士である。3776mmの頂上がちょうど海抜0mにあるという。かつて大潟村では日本一低い山として国土地理院の地図への掲載を求めたが、築山ということで見送りに。
●Tel:0185-45-3653(大潟村産業建設課)
寒風山パノラマライン(No.022)
◎正式名称/県道55号入道崎寒風山線
◎区間距離/10km(県道54号交点~国道101号交点)
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/9月下旬
アクセスガイド
寒風山パノラマラインに最も近いのは秋田道・昭和男鹿半島ICで、東北道・浦和ICからは589㎞、仙台宮城ICから262km。そこから妻恋峠までは約22km、30分ほどの道のり。妻恋峠から男鹿半島北端の入道崎までは、快適な広域農道・なまはげラインを通って約24km。国道101号、県道59号などを使って男鹿半島の海岸線を一周すると約80kmになる。
観光情報
男鹿市観光協会 Tel:0185-24-4700
大潟村総務企画課 Tel:0185-45-2111
文:佐々木 節/写真:平島 格