普通免許でOKなの!?
京成電車内の中吊り広告で、東京都葛飾区の京成ドライビングスクールにて「京成バス」の運転体験会が開催されることを知りました。そのコピーには、「普通免許(MT)さえあれば参加OK! バスの運転体験ができる滅多にないチャンスです!」とありました。バスが運転したくて、バスの運転士になりたくて、大型二種免許まで取得したリポーターはいてもたってもいられず申し込み、電車を乗り継いで現地へと向かったのです。
説明会場に着いてみると、たくさんいました! バスを運転したい人たちが。同社の採用担当者にお訊きしたところ、この日はいつもよりかなり多く、用意した資料もまったく足りず慌てて現場でコピーしたほどの盛況ぶりとのこと。「京成バス」の会社説明会を受けたあとに運転体験へと進むのですが、「そんなこと聞いてない。とにかくバスを運転したい!」と詰め寄る参加者もいて、「ああ、やはり運転体験だけが目当てで来た人もいるんだな」と。中吊りのキャッチを見たら仕方ないかなと思うところもありますが……。申し込みサイトにも、「過去に3回以上参加した人には運転体験はご遠慮いただきます」という注意書きがあるくらいなので、「運転体験」だけが目的という人はけっこういると推察されます。もちろん真剣に入社を希望する人も多く、給与や勤務形態などを熱心に質問する参加者が列をなしていました。
運転キャラクターはさまざま
いよいよバスの運転体験です。教習車4台を使って場内教習コースを走ります。外周路を半周し、交差点を右に1回、左に1回曲がって終了というもの。いつもはもう少し長く運転できるようですが、この日はあまりにも参加者が多かったため、やむなく体験時間が短くなってしまったとのことでした。1台あたり老若男女10人が乗車して交代で“運転体験”するので、運転士役以外は“乗客体験”になるわけですが、これがけっこう楽しかった!
マニュアル車の運転経験が浅いと思われ、発進時のギアとクラッチの操作がおぼつかない人、予想外に大きく感じた大型バスに戸惑ってやたらと慎重になってしまう人、操作が急でバキッとハンドルを切ってガツンとペダルを踏む人、乗用車感覚で交差点に進入してしまい、ドカンと縁石を乗り越える人、大型車に慣れてる風で勢いがつきすぎて教官にブレーキを踏まれてしまう人などなど……、どんな運転をすると乗客はどう感じるのかが理解できました。
リポーターは最後だったのでかなり緊張しましたが、まあまあの運転だったと自画自賛しちゃいます。乗客役の皆さんが興味津々にリポーターの運転をチェックしていたからでしょう。
京成バスに就職すると……
赤字経営のバス会社が多い中、京成バスは2016年度営業利益が14億55百万円と黒字経営なところがまず自慢だそうです。人口が密集する都市部、空港やテーマパーク、商業施設が多い路線を持っているところがアドバンテージなのでしょう。路線も増えているとのことで、将来性が感じられるのは大事ですね。気になる給与も含めた待遇では、「マタニティ休職」「育児短時間ダイヤ制度」あらかじめ勤務時間を決めた「特定運転士制度」など多様な働き方も売りになっています。これは、妊娠、出産、育児、介護などの理由で退職してしまう人がかなりいるため、できるだけ長く仕事を続けられるようにとの配慮から設けられた制度だそうです。
さて、「京成バス」と言えば、メルセデス・ベンツ・シターロ連節バスとスカニア・バンホール製ダブルデッカーを運行している会社です。リポーターが知る限りこれは京成バスだけ。これらバスマニアにはたまらないラインナップは、入社すればいずれ運転のチャンスが巡ってくるはずです。台数が少ないこともあり、技能資格的にも敷居が高くて簡単ではありませんが、可能性はゼロではありません。希望者が多くてなかなか狭き門のようですが、マニアなら挑戦してみる価値はあるでしょう。
今回のような会社説明会と運転体験会を同時に行うと、リポーターのように「バスが運転したいだけ」という人も来てしまうでしょう。しかし、運転だけが目的だったのに、やってみたら魅力を感じて就職してしまう人もいるかもしれません。もちろん未経験の就職希望者にとっても、入社前にバス運転士の仕事が体験できるのだから安心ですね。