清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 85
レクサス LC500 vs BMW M6 カブリオレ
TEST 02:ウェット旋回ブレーキテスト
テストの「方法」と「狙い」
ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
タイヤコンディション
BMW M6 CABRIOLET
BMWのMモデルは走りを優先するので、ランフラットタイヤは履いていない。今回テストしたM6のタイヤは、レクサスLC500よりもワイドトレッドだったのにも関わらず、ハイドロプレーンは発生しなかった。
LEXUS LC500
タイヤの溝は新品に近いので、ウェット性能に不満はなかった。LC500専用に開発されたミシュランのランフラットタイヤは従来品よりも縦バネが10%ほど低いため、乗り心地が予想以上に良かった。
安定志向のLC500に対して
スポーツテイストのM6
BMW M6 CABRIOLET
●制動距離:74.0m(★★★★☆)
カブリオレなので、ボディ剛性が気になったが、M6としてのダイナミクスは期待を裏切らず、ステアリングの効きは文句ない。どちらかというと、リアの安定性が足りない感じで、旋回中はオーバーステア気味になった。その瞬間、電子制御が総動員し、姿勢を安定方向に保っていく。その間は、ブレーキ圧は減じられ、ブレーキの効きは甘くなる。だが、そもそもこのプラットフォームは7〜8年前のものなので致し方ない部分はあるだろう。いずれにしてもステアリングの切れ味は健在だったが、なんとかスピンしないようにDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)で最低限の安定性は確保していた。
LEXUS LC500
●制動距離:70.9m(★★★★☆)
100km/hで進入し、ほとんど同時にステアリングとブレーキを操作する。旋回し始めたと思ったとき、ABSがやや大袈裟に反応して、ブレーキ圧を減らしてしまった。感覚的にはもっとブレーキを効かすことができると思われたが、姿勢制御を優先するロジックを持っているようだ。リアグリップの安定性が高いので、もっとブレーキ力を発揮させてもいいだろう。2回目はステアリングをやや先行して操舵し、そこから制動力を強く立ち上げると、結果的には制動距離は短くなった。ドライバーの操作の仕方によって、結果が異なるのは改善余地があるかもしれない。もっとブレーキセッティングを攻めてもいいだろう。
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