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突撃リポート【高速バスやまと号】新宿線30周年イベントに出没

ボンネットバスを目当てに

去る7月中旬の日曜日、奈良県奈良市の「奈良交通バス操車場(JR奈良駅そば)」にて、奈良交通の高速バス「やまと号」新宿線30周年イベントが開催された。当然、バスマニアであるリポーターは会場に足を運んだが、イベントは操車場の片隅を仕切ってバス2台を展示しているだけ。1台はやまと号現役車両でおなじみの「日野セレガ」。しかし、もう1台は奈良交通保有車両で最古となる、「いすゞBXD30型ボンネットバス」なのだ。

スルッとKANSAIバスまつり」のような大規模イベントではないし、この日は外を3秒歩いただけで倒れそうなとんでもない猛暑日だったので、誰もいないかも? と心配したところ、これが意外なほどの人出があったのです。
車両展示以外は「オリジナルバスグッズ販売」、制服・制帽を着用して記念撮影をする「子ども制服」、やまと号のぬり絵を描いた子どもが参加できる「抽選会コーナー」もありました。しかも、このぬり絵作品の一部は市内循環バスの車内にポスター掲出されるという栄誉も。とはいえ、やはりメインはやまと号とボンネットバスの試乗会です。こちらは要事前申し込みだったので、残念ながら当日受付では参加できませんでした……が、かわいすぎる広報部員の竹谷さんに案内いただけたのは大きな収穫でした。
バス部品の販売会がないこと以外は、「スルッとKANSAIバスまつり」の奈良交通ブース単体といったスケール感でしたが、こうしたバス、特にボンネットバスがあるイベントは、家族三代で楽しめるからファミリー総出の来場が多いようで、おじいちゃんたちが懐かしむ昔話を聞くお孫さんたち……なんて、とても素敵な光景もありました。ちなみに「スルッとKANSAIバスまつり」とは、関西を中心に岡山、静岡を含めた64の鉄道・バス事業者が加盟する「スルッとKANSAI」協議会が主催するバス専門イベント。今年は9月30日(日)に京都市左京区の岡崎公園で開催予定だ。

いすゞBXD30を「守る会」も発足

奈良交通が所有するボンネットバス(いすゞBXD30型)は昭和41年10月13日に新車導入されたもので、昭和54年2月を最後に定期路線から引退。その後は定期観光バスや季節臨時バス、市内循環の季節運行など細々と使われていましたが、平成7年2月に登録抹消されて休車になりました。そのまま朽ち果てるかと思われたものの平成11年放映のNHK連続テレビ小説“あすか”出演のために外装が修復され復活。その後またしばらく眠った後、平成16年に再登録され、1年ほど定期観光バスで使われ、平成25年に奈良交通創立70周年記念に再々度登録で復活、またまた1年ほど定期観光バスとして運行されました。

このあたりでそろそろヤバいと感じた、木村さんというボンネットバス愛好家が「守る会」を立ち上げて活動を開始。その初イベントは、平成26年9月の五新線跡(未成線)バス専用道廃止に合わせた「さよならバスツアー」だったそうです。その後定期的にイベントや撮影会を企画し、使うことで廃車を免れようと活動していらっしゃいます。とはいえ、製造から50年以上が経ち整備も大変、故障リスクが高まるのはもちろん、故障部位によっては部品がないことも。そうなると「いよいよ……」になってしまいますが、そうならないように木村さんもリポーターも祈っています。
このボンネットバスには、できるだけ長く奈良交通で活躍して欲しいと思いますが、昨年、神奈川県藤沢市に開館した「いすゞプラザ」への移籍を狙っているという噂もあるそうです。確かに、今ひとつ決め手に欠ける「いすゞプラザ」に、このBXD30はかなりの華になるとは思いますが……、できれば奈良交通カラーのまま、静態ではなく動態保存されることを切に願います。
夜行高速バス「やまと号」は現在、今年開業30周年を迎えた奈良―新宿線、五條―新宿線、奈良―横浜・東京ディズニーランド線の3路線が毎日1往復運行されています。夜行バスはしんどいからな~と言う人は多いですが、寝ている間に移動できるメリットとコスパは魅力的なはず。片道を新幹線や飛行機にしてもいいでしょう。奈良を訪れる際にはぜひとも夜行高速バスの旅を!

フォト:大田中秀一 S.Otanaka
大田中 秀一

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