
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 82:ダイナミクス性能は欧州車と互角! 新プラットフォームを有した日本車対決
スバル・インプレッサ 2.0 i-S アイサイト vs トヨタ C-HR S-T
TEST 01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト
静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト
100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G〜1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
加速テスト
ブレーキテスト
C-HRは加速もブレーキ制動も
改善点が残る結果となった
C-HRにはハイブリッドとターボが用意されるが、ターボは116psの1.2Lとややパワー不足か。しかも欧州には6MTもあるが、国内はCVTだけ。カッコよさとハンドリングは納得できるが、加速性能には不満も残った。0.23Gはいかにも寂しい。CVTはもっと加速重視でチューニングしてもらいたいと思った。CVTの課題は急ブレーキを踏んで停止したとき、3速から1速にダウンするのに時間がかかってしまった。ブレーキは平均的な効きだが初期制動の食いつき感をもっと高めてほしい。普通のドライブでも効き感が足りないかもしれない。結果、インプレッサよりも10%ほど制動距離が伸びてしまった。
TOYOTA C-HR S-T
加速:0.23G(★★★)
減速:1.01G(★★★★)
シャシーとボディは洗練されているものの、パワーユニットは少し寂しく感じた。だが、新しいプラットフォームと2LのNAエンジンの組み合わせは良きファミリーカーであることに間違いはない。チェーン式CVTは自然吸気のエンジントルクなら違和感はない。むしろ発進はスムーズだった。スバルのCVTは適度な節度感もあって好ましい。残念なのは自然吸気エンジンゆえか、少しうるさく感じられたこと。0-100km/hはなんとか10秒を切った。ブレーキは良く効く。ブレーキペダルを踏んだときのしっかり感もあるし、初期の食いつきもいい。ABSも粗っぽくなく、きめ細く制御していた。
SUBARU IMPREZA 2.0 i-S EyeSight
●加速:0.28G(★★★☆)
●減速:1.13G(★★★★☆)