
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 82:ダイナミクス性能は欧州車と互角! 新プラットフォームを有した日本車対決
スバル・インプレッサ 2.0 i-S アイサイト vs トヨタ C-HR S-T
TEST 02:ウェット旋回ブレーキテスト
テストの「方法」と「狙い」
ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
タイヤコンディション
SUBARU IMPREZA 2.0 i-S EyeSight
ヨコハマタイヤ・アドバンスポーツV105の前後225/40R18(9分山)。ウェット制動距離ではC-HRに軍配。スポーツタイヤだが、燃費重視のためウェット性能が犠牲に。スバルも低転がりタイヤを使う傾向のようだ。
TOYOTA C-HR S-T
ミシュラン・プライマシー3の前後215/60R17(9分山)。このタイヤは特に燃費を意識したわけではなく、走りを重視した性能をタイヤメーカーに要求したそうだ。さすがといえるほどウェットが良かった。
昨今の燃費性能重視のタイヤは
ウェット旋回に課題を残す結果となった
SUBARU IMPREZA 2.0 i-S EyeSight
●制動距離:53.5m(★★★)
過去数年にわたってスバルのウェット性能は業界でもトップクラスの性能だったが、最近になって良くない結果が出ている。今回ウェット旋回ブレーキでテストしたインプレッサが履くスポーツ系18インチタイヤもまさにそうで、舵が効きにくかった。それでもなんとか制動距離は短く止まれたが、ラインは大きく膨らんでしまった。旋回ウェット路に進入してステアリングを切った瞬間にハイドロプレーンが発生し、フロントタイヤが外に逃げてしまうのだ。全体的に4輪ドリフトアウト気味に膨らんだ。ついにスバルまでもがウェット性能を捨ててまで、燃費を重視するメーカーになってしまったのだろうか。
TOYOTA C-HR S-T
●制動距離:53.0m(★★★★)
タイヤ的にいえば、トヨタC-HRが履くミシュラン・プライマシー3のウェット性能は非常に優れていた。特にハイドロプレーンが発生しにくい。背の高いSUVなのに、背の低いクルマに勝ってしまった。1回目の停止距離は49mとぶっちぎりのトップだったが、2回目にステアリング操作をやや先行させてテストすると、ABSが低ミュー路だと誤判定しやすく、特にリアの制動力が弱まるので、全体的に制動距離は15%くらい延びてしまった。もし、ABSがスバルのレベルなら、C-HRは完璧なウェット旋回性能を見せたはずだ。最近の欧州車のウェット性能も低下し始めているので、ますますウェットテストは重要になるだろう。