清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 77:国産スーパースポーツの両雄が2016年ラストバトルで名勝負!
ホンダ NSX vs 日産GT-R ピュアエディション
TEST 02:ウェット旋回ブレーキテスト
テストの「方法」と「狙い」
ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
タイヤコンディション
NISSAN GT-R PURE EDITION
GT-R専用に開発されたダンロップのランフラットタイヤ。外形を大きくし接地面積が縦長になるのは正しい判断。性能に不満はないが、問題はコストが高いことだ。タイヤに依存しすぎるのも一長一短。
HONDA NSX
古い世代のコンチネンタルを履くが、荷重とトルクを考えると剛性やグリップの絶対値が足りないと思った。試乗車はリア6分山だったので、新品タイヤで再テストした結果をリポートしている。
NSXは新品タイヤの時と
6分山タイヤの時の差が大きかった
NISSAN GT-R PURE EDITION
●制動距離:55.7m(★★★☆)
ウェットの旋回ブレーキはタイヤのウェット性能とブレーキとステアリング機能が同時に評価できる厳しいテストだ。GT-Rのタイヤは新品で6.3mmだが、テスト車は5.5mm前後の摩耗だった。テスト結果はウェットに進入した瞬間、フロントのタイヤがハイドロプレーン現象で一瞬舵が効かなくなったが、速度が低下すると舵の効きは復活する。VDCが機能しているのでスピンすることはなかったものの、半径40mのラインからは大きく外れてしまった。2回目のテストはステアリングをやや先行させてブレーキを踏むが、こちらでもデータのバラ付きはなかった。タイヤの摩耗状況を考えると満足できる結果だ。
HONDA NSX
●制動距離:55.8m(★★★)
直線制動で感じていたが、ブレーキの初期の効きの甘さやABSの制御がウェットでどう影響するのか少々不安もあった。果たして6分山に減ったタイヤでは挙動はスピン傾向が見られた。VSA(ESC)が備わっていても、ミッドシップのテールスライドは止められない。初回のテスト車のリアタイヤはGT-Rよりも減っていたので、新品に交換して再テストも行なった。新品タイヤではスピンの挙動はなくGT-Rよりも内側のライントレースが可能だった。気になったのはABSの制御。ロック率が高いので、リアの安定性が少し不足気味だ。新型NSXは曲がることは得意なのだが減ったタイヤでは安定性に難があると思った。
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