パワートレインの選択肢は多彩に
メルセデス・ベンツのフラッグシップ、「Sクラス」の次期モデル(W223)とおぼしきプロトタイプがキャッチされた。今回は幸運にもインパネ回りと後席の撮影にも成功。その作りはまだまだ暫定版という趣だが、現在得ている情報を踏まえてチェックしてみよう。
次期Sクラスのキャビンには、4月に北京で公開されたコンセプトカー、「ヴィジョン・メルセデス・マイバッハ・アルティメット・ラグジュアリー」に通じるデザインが採用されると予想されている。現行モデルでもメーターとセンターディスプレイが連続するレイアウトを採用しているが、次期型ではそれが徹底。当然、最新世代の「MBUX」(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)インフォテイメントシステムも搭載されるはずだ。入念に擬装されたプロトタイプのインパネ回りはドライバー正面のディスプレイが独立しているが、これはテスト用の暫定措置と思われる。
インパネ回りと同様、後席も擬装でフルカバーされているので現状だと形状などは確認できないが、少し気になるのは後席左右のヘッドレストが不相応に大きく見えること。ヘッドレストに装着するピローが小さすぎるだけかもしれないが、そこは最先端の安全装備を積極的に採用してきたSクラス。あるいは、進化したプレセーフに採用する新機軸を実装テストしているのかもしれない。
プロトタイプの外装はフルカモフラージュ状態のため、いまのところデザインの詳細は不明だ。しかし、トレッドがわずかに拡大されていることやラジエターグリルが大型化されていることは間違いのないところ。フロントフェンダー左右の「峰」は実際の形状を隠すための細工と思われるが、全体のシルエットは現行型(W222)、あるいは先代(W221)に通じる佇まいのようだ。
Sクラスといえばパワートレインのラインナップも多彩だが、新型でもそれは継承される模様。エンジンは3リッター直列6気筒のディーゼル&ガソリンターボやV型6気筒ツインターボ。上級グレードやメルセデスAMG用となるV8ターボ、さらにはプラグインハイブリッドやピュアEVといった電気駆動システムも充実したものとなるという。
また、ライバルのアウディ新型A8が実装したレベル3の半自動運転技術、もしくはそれを超えるものが採用されることは確実。ハイテクぶり長年メルセデスの旗艦を努めてきたSクラスに相応しいものとなるはずだ。その実態は、2020年内に開催されるいずれかのモーターショーとなるだろう。