パッチワークの路(No.011)
まるで縫い合わせた布地のように大きくうねる大地。
ケンとメリーがスカイラインで訪ねたポプラの木をはじめ、数々の有名なCMロケ地が点在する美瑛の丘陵地帯。この手の観光地は実際に行ってみるとガッカリというケースも少なくないのだが、ここは違う。まるでパッチワークのような美しい幾何学模様を描く大地、丘の上にぽつんと立つ木々、そして、遠くにそびえる大雪や十勝、富良野の山なみ。どこを切り取ってもすべてが素晴らしい絵になってしまう。
今から30年ほど前、筆者が初めてバイクで北海道を旅したとき、美瑛はガイドにもほとんど紹介されないマイナーな土地だった。道北エリアといえば、誰もが行きたがったのは宗谷岬や層雲峡あたり。当時、ドラマ『北の国ケから』の舞台となっていた隣町の富良野でさえ、「知る人ぞ知る」といった穴場スポットにすぎなかった。
ところが、現在、美瑛を訪れる観光客は年間数百万人にのぼる。旭山動物園の人気ともあいまって、北海道を代表する有名観光地になっている。
ちなみに、美瑛の丘に広がる農地がパッチワークのように見えるのは連作障害を防ぐため。同じ作物を繰り返し栽培すると土地がやせてしまうので、ジャガイモ、小麦、豆類、ビートといった異なる種類の作物を、順々に植えていくのである。
美しい美瑛の丘は地元農家の生活の場。当然、見せるための観光農園ではないので、畑や農道に立ち入ったりしてはいけない。
ご当地情報
◎正式名称/地方道
◎区間距離/なし
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/6月下旬
アクセスガイド
旭川の中心部から美瑛までは約25km。旭川空港からは10kmほどなので、レンタカーを使って気軽に北海道を楽しむのにも絶好のスポットだ。札幌からだと道央道・旭川鷹栖IC経由が便利で、約160kmの道のり。
観光情報
美瑛町観光協会 Tel:0166-92-4378
文:佐々木 節/写真:平島 格