ジャーナリストらの評価は?
渡辺敏史
CLAよりもCクラスとの共食いになる!?
パワートレインの電動化が上から下から待ったなしで推し進められる昨今、縦置きエンジンのFR系モデルはその拡張性において制 約があり……ということで、メルセデスにおいては柔軟性の高いFF系アーキテクチャーが今後台数的な主力を担う可能性も大いにあ るのではないだろうか。
新型Aクラスのポテンシャルもそれを予感させるに充分だったが、セダンが加わったことでCクラスとの被りはより明瞭なものとなった。車格的には先代Cクラス=W204系にほど近く全幅も1800mmに収まるうえ、居住性はそれを上回るなどパッケージの利は充分にあり、静粛性や乗り心地においても現行Cクラスに負けず劣らず……となれば、たとえばMBUXを扱うのが気恥ずかしい守旧的なユーザーにも受け入れられる余地は充分にある。CLAクラスとの棲み分けが注目されるが、その前に、今回ばかりはCクラスとの共食い が避けられないだろう。
今井優杏
MBUXの未知数な楽しさも魅力のひとつ
単身の都市生活者にとって、コンパクトカーほどありがたいパッケージはない。だけど、小さいからって貧乏臭いと困るのだ。女もそこそこの年齢になれば、ここぞのときに共に戦ってくれるような「勝負カー」が必要になる。
私自身、そういう理由で現行Aクラスオーナーなのだけど、ハッチバックではカジュアルすぎる、と感じる方にピッタリの選択肢になりそうだ。エクステリアももちろん素敵だけど、真髄は内装と走りにこそある。特に今回試乗したA220 4マチックのなめらかなサスペンションには驚いた。抉れた悪路でさえも飲み込んでサラリといなす。リアのオーバーハング分の重量と、ボディラインからもたらされる空力性能によって、ハッチバックより数段しっとりと落ち着いた挙動を見せる。
内装の質感はすでにCクラスを超えるほどで、どこを見渡してもかなりゴージャス。車載型人工知能MBUXの未知数な楽しさも、Aクラス・セダンの魅力だ。