独メーカーは揃って前年比プラス
日本メーカーの中間決算が発表されるなか、欧州メーカーは1~9月の世界販売の実績を公表。フォルクスワーゲン・グループ、ダイムラー・グループ、BMWグループのドイツ勢は揃って前年比プラスを維持し、フランスのグループPSA、ルノー・グループも増加。スウェーデンのボルボ・カー・グループも2ケタの伸びを見せるなど、どのメーカーも好調が続いている。
ドイツ勢はフォルクスワーゲンが813万台を販売して前年同期比も4.2%増と気を吐く一方で、ダイムラーは1.4%増の約243万台、BMWが1.3%増の約183万台とプレミアムブランドの伸び率はやや鈍化。また、2018年9月から既存モデルも対象となった新たな排ガス・燃費基準WLTPへの対応コストが利益を圧迫。ダイムラーは9カ月で2割以上の減益となっており、これが1~12月の通期決算にどこまで影響をおよぼすのか悩みのタネとなっている。
フランス勢はPSAが19.0%増の約288万台と大幅増だが、これは2017年に買収したオペル/ボグゾールの好調に支えられたもので、プジョー・ブランドは中国での減速が影響して大幅に減少。通期でどこまで取り戻すのか気になるところ。ルノーも8.1%増の297万台と好調ながら、これもダチアやラダなどの台数増に支えられており、ルノーブランドは0.8%増にとどまっている。ちなみに新たに投入されたアルピーヌは9カ月間で1388台が売れている。
ボルボは台数こそ47万台程度と少ないが14.3%増と大幅な伸びを維持しており、新車販売の鈍化が伝えられる中国でも16.8%増と大きく増加。XC60とXC90の好調に加え、XC40が上乗せとなって台数を増やしており、通期では新型V60/S60も加わり、さらにセールスを伸ばす可能性が高い。
販売増の傾向は保っているものの、WLTCへの対応コストに加え、米中貿易摩擦の影響で頼みの中国新車市場が7月以降は伸び悩むなど不透明要因も少なくない欧州メーカー。さまざまな対策を練っているはずだが、通期の売上高や利益にその影響が強く出ることになるのか。世界情勢とも絡んでいるだけに、年末に向けて目が離せない状況が続くことになりそうだ。