モータースポーツ

【チビカメKeigoのラリー漫遊記】WRCモンテカルロ編

2019シーズンのWRCがいよいよスタート!

11月に最終戦を終えて1月にはもう開幕戦。ラリーってシーズンオフがほとんどないんですねえ。はい、ということで2019年の世界ラリー選手権(WRC)の開幕戦、ラリー・モンテカルロに行ってきました。去年は行けなかったので2年ぶりの取材になります。今年から大きく変わった点があって、去年まではモナコのカジノスクエア前がスタートで、そりゃあもう華やかな雰囲気で、モータースポーツが貴族の道楽だってことを感じさせられたんだけど、今年はサービスパークが設置されるフランス南部の街ガップがスタート。ラリー・モンテカルロって実はモナコ周辺だけを走るわけじゃなくて、ほとんどがガップ周辺の山岳路がステージなんですね。

ガップ市内に勢ぞろいした各ワークスのマシン達。

木曜午後にガップから約300km離れたモナコまで南下してセレモニアルスタート。そのまま北上しつつナイトステージを2本こなすっていうのが最近のスタイルでした。ようするに、1日で往復約600kmを走らないといけなかったんです。当然、選手だけじゃなく僕たちメディアも同じで、この移動が結構大変でした。とはいえ、モナコのスタートはやっぱり華やかだし、絵になるしで僕は好きでした。なので、来年はモナコスタートに戻して欲しいなっていうのが本音です。

背景がマンションじゃね……。

他に話題といえば、やっぱりセバスチャン・ローブのヒュンダイへの移籍かな。ラリーはシトロエン、ラリーレイドはプジョーとPSAグループ一筋だったローブとコドラのエレナが、まさかシトロエンを離れるなんて誰も予想してなかったのでは? これには色々と理由があって、一番大きなのは、メインスポンサーのアブダビが離れてしまい、ずばりお金が厳しいこと。

オジェに殺到する取材陣。すげー人数!

Mスポーツ・フォードから古巣に出戻ったチャンピオンのセバスチャン・オジェとトヨタから移籍してきたエサペッカ・ラッピのレギュラー参戦組に加えて3台目を走らせる余裕がなくなってしまったんですね。二人のセバスチャンと成長著しいラッピの布陣なんて、ひょっとしてシトロエンのマニュファクチャラーチャンピオンもありえるかも! と思ってたんだけど、さすがに2台体制だと厳しいかな。

去年のオジェ、タナックとの三つ巴の争いは見応えあったなあ。

これは僕の勝手な想像だけど、去年のスペインでうっかり勝っちゃったローブ。まだ若いやつらには負けてへんで!と思ったか思わなかったか、ヤル気スイッチが入ったんじゃないかなあ?で、いまいちパッとしないアンドレアス・ミケルセンと、ここ一番に弱いティエリー・ヌービルに加えて切り札が欲しかったヒュンダイの思いと一致した、なんてストーリー。ヒュンダイの3台目はダニエル・ソルドとローブでシェアしての参戦。もともとマシンの完成度は高いヒュンダイ。そこにローブが加入したんだから要注目です。

今年こそベルギー人初のチャンピオンを狙うヌービル。

ヒュンダイのレーシングスーツ姿がまだ見慣れないローブ。

で、残り2チーム。まずはMスポーツ・フォードですが、こちらはオジェが抜けてテーム・スンニネン、エルフィン・エバンスに加えて、モンテカルロとスウェーデンに元WRC2チャンピオンのポンタス・ティデマンドが加入。若手ドライバーだけで戦うことになりました。ぶっちゃけ、しんどいねえって感じですね。

戦力不足は否めないMスポーツ・フォード。撤退しなかっただけよかったかな。

最後にトヨタ。こちらはヤリ=マティ・ラトバラ、オット・タナックが残留。去年のポルトガル後にシトロエンをクビになったクリス・ミークが加入。バカッ速のヤリスに、とんでもない_速さを身につけたタナック、ベテランのラトバラにミーク。普通に考えれば無敵です。唯一僕が心配しているのは、ミークのクラッシュ癖。めちゃくちゃ速いけど、ヤラカシ率の高さが悩みの種のミーク。そんなとこは師匠のマクレーに似なくてよかったのになあ。だけど、この3人が上手く噛み合えばマニュファクチャラー2連覇、さらにタナックのチャンピオンも見えてきそう。

いまやオジェと真っ向勝負できるまでに成長したタナック。今年も楽しみな存在。

トヨタに加入したミーク。クラッシュさえなければなあ。

地元出身のシトロエン・オジェが僅差で制す!

と、こんな感じで迎えた開幕戦ラリー・モンテカルロ。今年は雪も少なくて、とはいえ、山の中や日陰には圧雪路やアイスパッチがあり、難しいラリーであることには違いありません。ひとつのステージに雪や氷やドライの路面が存在するわけですから、タイヤ選択がめちゃくちゃ大事。そこで各チームは、本番直前にステージを走って路面を確認して各クルーに伝えるセーフティクルーを雇います。経験豊かな元ドライバー・コドライバーが務めることが多いこのセーフティクルーからの情報が勝負を左右するんですねえ。

こちらがセーフティクルー。アイスノートクルーなんて呼んだりもします。

ラリー中を通してずっと天気は良かったけど、冬だし山だし寒いんです。だけど、各ステージにはギャラリーがいっぱい。今年はとくにローブが参戦したり、オジェがシトロエンに復帰したりと、地元フランスのファンにとっちゃ見逃せないラリーなわけですね。ギャラリーがあまりに多くて危険だってことでキャンセルされたステージもあったぐらい。日本もこれぐらいお客さんが集まればいいのにねえ。空前のラリーブーム、来ないかなあ……。

雪も降らずよいお天気だったこともあってか、ステージにはお客さんがいっぱい!

こんな感じで思い思いに過ごしてます。だいたいみんな、肉焼いて酒飲んでます(笑)

お子様からじいちゃんばあちゃんまで、日本じゃ考えられないほどラリーが_身近な存在です。

今年で87回目の開催。歴史がありますねえ。

テレビのリポーターとしてフランソワ・デルクールが! ファンやカメラマンからサイン攻め。

さて、競技のほうはというと、予想通りオジェ、ヌービルが頭ひとつ飛び出してラリーをリード。それをラトバラ、ローブ、タナックが追う形。あまりに特殊なラリーってこともあって、モンテカルロの成績でシーズンを占うことは難しいとは言われてるけど、去年までモンテカルロ5連勝中のオジェ。やっぱり速えー!さすがは地元も地元。ガップ出身だけのことはあります。

最終SSのオジェとヌービルの全開アタックにしびれました。

そのオジェにくらいつくヌービル。チュリニ峠を含む4ステージを残した最終日を4.3秒差で迎えたこの二人のバトルは最終ステージまでもつれこみます。最終SSのフィニッシュで待ち構えていた僕を含めたメディアやオフィシャル、先にフィニッシュしたヌービルがライブ映像でオジェの走りに釘付け。映像でも見てもわかるほどの全開アタック。久々に鳥肌が立ちましたよ。結果、2.2秒差でオジェの勝利! 3日間走ってたったの2.2秒差ですよ。いやー、すごいバトルでした。

まれに見ぬ僅差の勝負となった今年のモンテカルロ。やっぱりオジェは強かった。

終わってみれば、大方の予想通りの順位となったラリー・モンテカルロ。フランス人がフランス車でフランスで勝利っていう、地元ファンにとってはこれ以上ない結果になりました。しかもこれがシトロエンのWRC通算100勝目。最近低迷していたシトロエンだけど、2台体制で不利ではあるけど、ひょっとしたらひょっとするかもね。

パワーステージ後のシャンパンファイト。オジェ、思いっきり僕を狙ってます……。

ワークスチームの戦いぶりをお伝えするだけで終わるわけにはいきません。WRC2やプライベーターの模様はこの後の第二弾でお伝えしますので、しばしお待ちを!

 

WRC Rd.1 ラリーモンテカルロ リザルト
①セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC)3:21:15.9
②ティエリー・ヌービル/ニコラ・ジルスール (ヒュンダイi20 クーペ WRC)+2.2
③オィット・タナック/マルティン・ヤルベオヤ(トヨタ・ヤリス WRC)+2:15.8
④セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ(ヒュンダイ i20 クーペ WRC)+2:28.2
⑤ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ(トヨタ・ヤリス WRC)+2:29.9
⑥クリス・ミーク/セバスチャン・マーシャル(トヨタ・ヤリス WRC)+5:36.2
⑦ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンソン(フォード・フィエスタ R5)+13:04.6
⑧ヨアン・ボナート/ベンジャミン・ブルー (シトロエン C3 R5)+13:56.5
⑨ステファン・サラザン/ジャック-ジュリアン・レヌッチ(ヒュンダイ i20 R5) +14:06.8
⑩アドリアン・フルモー/ルノー・ジャムル(フォード・フィエスタ R5)+16:03.4

山本 佳吾

AUTHOR

身長159cm、体重47kgの業界最小フォトグラファー。ラリー取材は内外問わず経験豊富。放浪癖あり、撮り鉄、阪神ファン、プジョー106キチガイ。

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