清水和夫のDST

最強のポルシェにメルセデス流儀で果敢に挑むスポーツカーガチバトル!【清水和夫のDST】#76-1/4

ダイナミクスの面ではボクスターなのだが……

街を見渡しても、セールスデータに目を通しても、“思うほど少なくない”2シータースポーツカー。人々はこのクルマにどんな価値を置いているのか。そんなことを考えながら、2台のオープン2シータースポーツカーをテストした。

まずはポルシェ718ボクスターS。Sモデルはエンジンの排気量も大きいし(素は2LでSは2.5L)、ターボシステムも異なる。
ニュルでの速さはケイマンGT4に匹敵する、まるで自然吸気のフラット6を退治するようなフラット4ターボの登場だ。ポルシェはライトサイジングというその選択が正しいことを証明したいがあまり、エッジの効いた350のSも用意した。以前、ウェットの筑波サーキットでライバル車に4秒以上もの差をつけた経験を思い返すと、ボクスターSは3Lターボのカレラでさえ追いかけ回してしまう存在かもしれない。そう、タイヤ/サスペンション/エンジン/電子制御が完璧なのだ。

ここまで速いスポーツカーを作ると、自分で自分の首を絞めてしまいそうだ。弟が兄貴を上回るからだ。まるで大河ドラマの『真田丸』のようではないか。だが、失ったものもある。
よどみなく回るボクサー6(水平対向6気筒)は完全バランス(クランクシャフトに発生する二次振動がない)と言われる貴重なエンジンだったが、その気持ちよさはもう味わえない。兄貴はフラット6を持っているが、ターボ化されたので「よどみなく回る」感覚ではない。ボクスターSは4気筒+ターボ。パワー&トルクと燃費と運動性能では文句はないが、6気筒の味が懐かしい。
そこにメルセデスAMG SLC43がやって来ると、ポルシェ・フリークも浮気したくなってしまう。

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2017年1月号より転載
CARSMEET web編集部

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