
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safty Test)
Number 69(SEASON.5):使ってよし! 走ってよし! の実力派セダン対決
メルセデス・ベンツ C220d アバンギャルド vs フォルクスワーゲン パサート TSIハイライン/Test01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G-1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
メルセデス・ベンツC220vs フォルクスワーゲン・パサートTSI(加速・減速編)
両車とも個性を存分に発揮したハイレベルなパフォーマンスを披露
C220dのアイドリングは、最新ディーゼルと比べて音や振動がやや気になった。だがスロットルを踏み込むと、発進からグッとトルクが出る特性は魅力的。しかも、新開発の9速ATは発進時のトルクコンバーターがエンジン特性と合っていて、加速も切れ目なく続くので満足できる。しかし、エンジン回転数の上限は4600rpmくらいで、車速が上がるほどトルクよりもパワー(仕事率)が勝り、ディーゼルよりもガソリンエンジンの方が有利となるだろう。ブレーキテストの一回目は路面が冷えていたこともありバイト感が足りなかったが、暖まれば期待通りのブレーキ性能だった。CクラスのABSは、右足にペダル振動を感じるものの、音が耳に伝わってくることはなくプレミアムなABSといえるだろう。
MERCEDES-BENZ C220d
●加速:0.31G(★★★☆)
●減速:0.87G(★★★)
ディーゼルと比べ、ガソリン1.4L TSIはトルクで負けるが回転の伸び感が期待できる。だが発進時はトルクが小さく、しかもクラッチの滑りを防ぐためにエンジンは少しストール気味だ。タイヤが数回転するとガソリンターボとDSGが元気になり、変速はきわめてダイレクト感に溢れ、7速の多段化ギアを有効に使える。これらを総合すると、非常に愉しい走りを体感することができ、これはC220dでは感じられないフィーリングだ。0→100km/h加速の平均加速GではC220dに対して0.03G負けてしまったが、60km/h以上の車速になるとガソリンターボの方が有利だった。ブレーキは1回目も2回目もよく利き、バイト感も期待できた。ABSはペダル振動と音が伝わってくるので、少々煩わしく感じてしまった。
VOLKSWAGEN PASSAT
●加速:0.28G(★★★)
●減速:0.97G(★★★★)