タイヤ偏摩耗の差もあったが、ABSの作動にも両車の特性が現れた
テスト日は風が強くて水深が一定になりにくく、しかも奥にいくほど水深が深くなる条件。メルセデスに対する信頼性は高いが、7分山のピレリP7のウェット性能(ハイドロプレーン)は多少不安だった。7分山といってもフロントタイヤのショルダー部分はもっと減っていたからだ。100km/hで進入し、ステアリングとブレーキを同時に操作すると、外側にいくほど水深が深いせいか、タイヤが路面に食いつかない。制動距離は短いがライントレースが甘く、半径50mのラインから2車線分くらいのところをトレースする結果となった。2回目はステアリングをやや先に操舵してからブレーキを踏んだところ、ABSのロバスト性は15%ほど制動距離が伸びてしまったが、ライントレースに変化はなかった。タイヤの減りを考えれば評価できるだろう。
MERCEDES-BENZ C220d
●制動距離:41.5m(★★☆)
装着するコンチネンタルは8分山。Cクラスよりも偏摩耗は少ないので、ウェットは気にならない。100km/hで進入してステアリングと同時にフルブレーキすると、一瞬ABSが介入し、制動距離が伸びそうな気配もあったが、タイヤの違いもあって、Cクラスよりもライントレース性は高かった。ステアリングの舵角に対して忠実にライントレースを行ない、タイヤのウェット性能も優れていた。制動距離とライントレース性、ともに満足できるレベルといえるだろう。問題は2回目のロバスト性評価だった。ステアリング操作を先行させるとABSが早利きし、制動距離が12%も延びてしまい、ラインも2車線分外を通過した。つまり、システムが完全に路面を誤判定してしまい、ステアリングが利かなくなってしまったのだ。
VOLKSWAGEN PASSAT
●制動距離:43.0m(★★★☆)
MERCEDES-BENZ C220d
制動距離は1回目と2回目で15%ほどの差がついてしまった。タイヤの影響も考えられるが、ピレリのロバスト性はCクラスとしては課題かもしれない。横Gに関しては完全にタイヤの問題でパサートよりも横Gが小さかった。
VOLKSWAGEN PASSAT
減速度に関しては満足できるデータだ。1回目のステアリング操作に対するライントレースは素晴らしかった。切り込むとどんどん横Gが発生する。だが2回目のテストでは一気にステアリングが効かなくなった。その落差が大きすぎる。