実戦投入の目標は2019/2020ワールドカップ
工業製品として、さまざまな分野のテクノロジーが投入されている自動車。当然、そこで磨かれた技術の数々は改めて別の世界で活かされることもある。BMWが手がけている2人乗りボブスレーの開発も、そんなケースのひとつといえるだろう。ドイツのボブスレー/リュージュ/スケルトン連盟と提携したBMWがコンピュータシミュレーションを駆使して開発、同社のエアロダイナミック&リサーチセンターで検証された2乗りボブスレーの試作品は今冬すでに十分な戦闘力が備わっていることを確認。今後、さらなるテストによるフィードバックを反映させ、2019/2020ワールドカップシーズンに投入することを目標にしているという。
BMWの試作ボブスレーは、開発からテストに至る10カ月という短時間でオリンピックチャンピオンのフランシスコ・フリードリヒ選手や世界チャンピオンのヨハネス・ロヒナー選手、ジュニア世界チャンピオンのクリストフ・ハーファー選手が過酷なテストを実施。その結果、パフォーマンスはすでに実戦に投入できる水準に到達している。
文字通り、何もない「ゼロ」からスタートしたというBMWによる2人乗りボブスレー開発は、前述の通りコンピュータシミュレーションによって初期のデザインが決定されている。そこにはボディの形状だけでなくデジタル化されたアスリートダミーを含む約10,000種類のフォームも取り込まれ、理想的なエルゴノミクスも追及されている。
試作ボブスレーは、そのシミュレーションで得られたデータと、それを検証したBMWのエアロダイナミック&リサーチセンターの解析結果に従って作られているが、製作過程ではカーボン素材の加工もコンピュータで緻密に計算。ボブスレーが実際のアイストラック内で巨大なGを最適に吸収できるようにレイアウトされている。また、オートクレーブでカーボン製の構成パーツを作成する過程では、BMWパートナーネットワークのモータースポーツ部門からもサポートを受けているという。