海外試乗

【海外試乗】「マクラーレン720Sスパイダー」スーパーシリーズの最新オープントップモデルが発進

720馬力のアナザーワールド!

21世紀に入り、スーパースポーツ界にもたらされた最大のニュースは、彗星のごとくマクラーレンが登場し、躍進を遂げていることに尽きる。その最新世代となるモデルがこの720Sスパイダー。レーシングコンストラクターとしてのキャリアとノウハウは、オープンにしてクーペと同等のパフォーマンスが証明している。

まるでジェット機のような高周波音を響かせる720SのV8ツインターボ。パワー特性のリニア感や鋭いスロットルレスポンスは、ターボエンジンであることが信じられないほど。

スパイダーが追加されるのは、2年前に720Sがデビューしたときからの既定路線。全車にカーボンモノコックを用いるため、ルーフを切り取ってもボディ剛性が悪化せず、重量増も最小限なため、ハンドリングや乗り心地に悪影響がないのがマクラーレンの特徴ながら、720Sのスパイダー化にはちょっとした心配を抱いていた。

マクラーレンのディヘドラルドアは、フロントタイヤ後方に設けられたひとつのドアヒンジを軸にして、前方に大きく回り込むようにして開くのがこれまでのお約束。ところが720Sは、従来のヒンジに加えてルーフの中央付近にもヒンジを設け、この2点を軸にして斜め前方に開く構造としている。これは、地下駐車場のような限られたスペースでも無理なく開閉できるようにするための工夫だったが、スパイダーではこの“ふたつめのヒンジ”を設けることができない。では、この問題にマクラーレンはどう対処したのか。

ドアヒンジの数を片側2点としたクーペに対し、1点式にあらためたスパイダー。ヘッドレスト付近から後方に伸びる黒っぽいパーツが空力性能を改善するフライング・バットレスだ。

答えは意外と簡単で、これまでと同じヒンジひとつのディヘドラルドアに戻すというもの。ただし、そのままではドアを開くのに必要な地上高が高くなってしまうため、クーペよりわずかにドア長を短くしてこの問題をクリア。幸い、ドアが短くなっても乗降性はほとんど変わらないのが確認できた。

運動性能もクーペとほとんど変わらない。0→100km/h加速2.9秒というタイムはクーペと同一。0→200km/h加速はクーペの7.8秒に対してスパイダーは7.9秒でほぼ互角。ルーフを閉じたときの最高速度に至っては341km/hでまったく同じなのだから驚く。しかも、スパイダーは屋根を開けても325km/hの最高速度をマークするというのだから二度驚かざるを得ない。

マクラーレンの世界観をダイレクトに満喫できる

マクラーレンのスーパー・シリーズに装備されるアクティブサスペンションが、スーパースポーツカーとは思えない快適な乗り心地と驚異的なコーナリング性能をもたらすのはご存じのとおり。この点はスパイダーでもまったく変わりはないが、ではリトラクタブルトップを開け放つとどうなるのか。

もちろん、屋根を開けたからといってボディ剛性が下がるわけではない。それでも、アリゾナのキンと冷え切った朝の空気がキャビンに優しく吹き込むと、それまでとは心持ちが大きく変わるのがわかる。720Sは最先端のテクノロジーをふんだんに駆使して作られた贅沢なスーパースポーツカー。それが、ルーフを開くことで倍加されるような気がするのだ。

インテリアのデザインとレイアウトはクーペと同一。オープン時の風の巻き込みは100km/h時でもほとんど気にならない。いざとなればリアウィンドーを開けるという手も残されている。

そのゴージャスな世界観を満喫するためにペースを少し落としてみる。すると、開け放ったルーフからキラキラと輝く光の粒子が舞い降りてきたように思えたのは気のせいか? ひとしりきゆっくり走ったところで再びペースを上げても、720Sの安定感溢れる走りはいささかも揺るぎがなかった。これもまたマクラーレンらしいゴージャスな体験であろう。

マクラーレン・スパイダーには隠し技のような仕掛けがもうひとつ備わっている。キャビン後方の小さなリアウィンドーを下げることできるのだ。ルーフを閉じたままこの小窓を開ければ、小気味のいいエンジンサウンドが新鮮な空気とともにキャビンへともたらされる。ルーフを閉じたときよりもちょっぴりスパイシーなその臨場感は、720Sのもうひとつの楽しみ方を教えてくれるかのようだ。

ルーフにオプションのエレクトロクロミック・グラスを装備すれば、スイッチひとつでガラスを透明にも半透明にも変えられ、パッセンジャーを強い陽射しから守ることもできる。

なお、スパイダー化に伴って、フライング・バットレスと呼ばれる空力パーツをヘッドレスト後方に設けたこともニュースのひとつ。しかも、これを透明にして720Sのウリのひとつである斜め後方の視界を確保している。単に速さを求めるだけではなく、実用性の高さを担保するのもマクラーレンの真骨頂といえる。

【Specification】McLaren 720S SPIDER

■全長×全幅×全高=4543×2059×1196mm

■ホイールベース=2670mm

■トレッド=前1674、後1629

■車両重量=1332kg

■エンジン型式/種類=M840T/V8DOHC32V+ツインターボ

■総排気量=3994cc

■最高出力=720ps(537kW)/7500rpm

■最大トルク=770Nm(78.5kg-m)/5500-6500rpm

■トランスミッション形式=7速DCT

■サスペンション形式=前後ダブルウィッシュボーン/コイル

■ブレーキ=前後Vディスク

■タイヤ(ホイール)=前245/35R19(9J)、後305/30R20(11J)

■車両本体価格(税込)=37,888,000円

【問い合わせ】

マクラーレン東京 03-6438-1063/マクラーレン麻布 03-3446-0555/マクラーレン名古屋 052-218-4050/マクラーレン大阪八光 06-6121-8821/マクラーレン福岡 092-611-8899  https://jp.cars.mclaren.com

リポート:大谷達也/T.Otani フォト:マクラーレン・オートモーティブ ル・ボラン2019年5月号より転載
LE VOLANT web編集部

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