清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safty Test)
Number74(SEASON.6):新プラットフォームを採用したプレミアムSUVの実力はいかに!
ボルボXC90 T6 AWDインスクリプション vs アウディQ7 2.0 TFSIクワトロ/Test03:ダブルレーンチェンジ
●テストの「方法」と「狙い」
80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
ボルボXC90 T6 AWD Inscription vs アウディQ7 2.0 TFSI quattro(ダブルレーンチェンジ編)
ボルボXC90 T6 AWD Inscription vs アウディQ7 2.0 TFSI quattro(ハイスピードライディング編)
ESCの介入に両車の躾の違いが現れた
VOLVO XC90
●操縦安定性:★★★☆
●平均通過速度:69.41km/h(2回平均)
2トンを超える巨漢がダブルレーンチェンジテストでどう振る舞うのか。怖さもあるが興味津々。まずはサスペンションをノーマルモードでテストした。100km/hから80km/hくらいまでブレーキをかけ、一気に隣のレーンにハンドルを切る。瞬間にESCが作動すると期待したが、実際の介入は少し遅れ気味。その結果、平均通過速度はQ7よりも速かった。だが、安全性を重視するなら、ESCはもう少し早期には介入してもいいだろう。ダイナミックモードでダンパーを硬くするとバネ上のボディの動きが収まるので、ロールやピッチングが減少、安心感は高まった。
Q7は巨漢でも安心感が得られた
AUDI Q7
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:67.69km/h(2回平均)
さすがドイツのアウトバーンで鍛えただけあって、ダブルレーンチェンジテストではハンドルを切った瞬間にESCが介入し、クルマの速度は一気に約10km/h低下した。その結果、平均通過速度はXC90よりも低くなるが、安心感は非常に高く、バネ上のボディはフラットに保たれていた。ロールとピッチングの制御がうまく機能し、ダンパーはノーマルモードでも快適性と安定性が高い次元でバランスしていた。近年のアウディはスタイリングやスポーツ性を意識しすぎていた感があったが、Q7ではアウディの本質を十分に味わうことができた。