
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number80(SEASON.8):最新コンパクトSUVのダイナミクス性能を徹底的に試す!
ミニ・クーパーD クロスオーバー vs フォルクスワーゲン・ティグアン・ハイライン/Test03:ダブルレーンチェンジ
●テストの「方法」と「狙い」
80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
MINI クーパー D クロスオーバー VS フォルクスワーゲン ティグアン TSI ハイライン(ダブルレーンチェンジ編)
MINI クーパー D クロスオーバー VS フォルクスワーゲン ティグアン TSI ハイライン(ハイスピードライディング編)
快適で背が高いSUVのお手本のようなダイナミクスのティグアン
VOLKSWAGEN TIGUAN HIGH LINE
●操縦安定性:★★★
●平均通過速度:61.88km/h(2回平均)
オールシーズンタイヤを履くSUVなので、この手のテストはあまり得意ではないかもしれないが、実際に走ってみると、ドライバーは何の不安も感じないでレーンチェンジができた。ステアリングを切った瞬間にESP(ESC)が作動し、まるで自動ブレーキが介入したように速度を落とす。隣のレーンから元のレーンに戻るまでの間のわずか区間もずっとブレーキを効かせていた。徹底的に安全サイドに振っているのは見事だ。乗り心地が快適で、背が高いSUVのお手本のようなダイナミクスだと好感が持てた。このダブルレーンチェンジテストからはメーカーの思想が良く分かる。
SUVと言えどもミニのダイレクト感は健在だった
MINI COOPER D CROSSOVER
●操縦安定性:★★★★
●平均通過速度:71.93km/h(2回平均)
ミニのDNAを持クロスオーバー・クーパーDは、ミニのDNAであるハンドリングの俊敏性を意識して開発された。その通過速度はティグアンよりもなんと15%ほど速いのだ。ドライバーの腕をある程度信じ、楽しいハンドリングを提供するのがミニの哲学だ。しかしクロスオーバーだけに背が高いので、急ハンドルは多少の恐怖を感じたが、ステアリング切った瞬間にDSC(ESC)を強めに作動さる。ドライバーを戒めるブレーキ介入は1回で終わる。そのあとは、ドライバーまかせで元のレーンに戻れる。安全性を確保しながらも、ミニのダイレクト感あふれる走りは健在だった。