美しい国を、愛しいクルマで
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FILE.20 山梨県 富士パノラマライン 編
全国のヤナセから試乗車を借り、ドライブに出かける本企画。今回は、首都圏からアクセスの良い富士五湖周辺を巡る旅。訪れた3月中旬は、まだ冬化粧の富士山だったが、すでに山麓は春の息吹が感じられ、爽やかなドライブが楽しめた。ふらりと訪れても「富士山」「食」を満喫できるドライブコースを紹介しよう。
富士山の麓を約半周する春のドライブコース
「こっちのシラスは大きくて美味しいですよ!」。クルマをお借りしたヤナセ 富士支店のスタッフからそんな話を聞き知り、それならばと、田子の浦漁港へ立ち寄り、腹ごしらえをしてから旅をスタートすることにした。しかしその日は、悔しくもシラス漁解禁の数日前。水揚げされたばかりのものにはありつけなかったが、4月に入れば、獲れたてのシラスを隣接する食堂でいただくことができるそうだ。
今回旅したのは、静岡県側から国道139号と国道138号で富士山の周りを約半周するドライブコース。中でも本栖湖から山中湖までの山梨県内の道は、富士パノラマラインの愛称で呼ばれ、富士山を望みながらドライブできるのが最大の魅力。また、朝霧高原の野菜や牧場の乳製品、ほうとうや吉田うどん、そして山中湖の別荘地に多い地元食材を使った洋食店と、道すがら美味しいものと出会える。旅の楽しみは「富士山」「食」で決まりかと思いながらクルマを走らせたが、お借りしたメルセデスAMG E53 4MATIC+もまた魅力的だった。
直6エンジンに48Vの電装システム「ISG」を組み合わせたパワーユニットと、4輪駆動と後輪駆動の割合を電子制御でコントロールする「4MATIC+」の組み合わせは、じつに軽快なドライブを実現してくれた。
タウンスピードで雪どけ後にありがちな荒れた路面を走った時などは、雑味をサスペンションが取り除いてくれるが、本栖湖と富士吉田の2車線区間などで強めにアクセルを踏み込めば、テンポのいいピックアップで高回転域へと引っぱり上げ、その強引さはまさにAMG的。この日常と非日常をシームレスにつないでくれるシャシー性能こそ、「53」最大の魅力なのだ。
富士パノラマラインからの眺望も素晴らしいが、西湖と河口湖をつなげるレイクサイドロード、湖北ビューラインへ回り道するのもオススメ。あまり観光化されていない西湖は静寂とした雰囲気で、河口湖周辺になると木々のトンネルが現れる。新緑や紅葉の季節になれば、ひと味もふた味も違ったドライブが楽しめるはずだ。
夕方、山中湖から三国峠へと抜ける県道730号のビューポイント「山中湖パノラマ台」に到着。眼下に山中湖が広がり、その向こう側には富士山と沈む夕日を望むことができる。
近年、富士五湖周辺には日本らしい風景を求め、海外からの観光客も増えているが、観光バスでは立ち寄ることのできないセクションに愛車で訪れ、その美しさを再確認するのもまた、旅の楽しさといえるだろう。