古さを感じるものの、官能的な走りのクアトロポルテ
クアトロポルテのプラットフォームは古さを感じるものの、それを差し引いても余りある官能的な走りは健在だった。イタリア人はとにかくアンダーステアを嫌うので、ステアリングのタッチは独特だ。
同車もその例に漏れず、アクセルペダルよりもハンドリングに魂が宿っているのではないか? と思わせる操作感を持つ。そう考える理由は、ダブルレーンチェンジで見せた不思議な身のこなしにある。まさにイタ車マジック。前後重量配分がほぼ半々(51:49)なので、フロントの慣性モーメントが小さく、あっという間にレーンチェンジが完了する。
ステアリングホイールにウッドを使うなどして、インテリアはビジュアル的にも無機質なドイツ車とは差別化されている。マセラティは「ステアリングは人とマシンを繋げる大切なインターフェイス」と考えているに違いない。
とはいえ、イタリアのクルマは理解に苦しむところもある。クルマ好きには刺さるものの、実用車としてはいささか首を傾げたくなる点もある。例えば伝統的なFRだけでなく、クアトロポルテはもっとAWDの存在をPRしたほうがいいかもしれない。もしもフェラーリGTC4ルッソの4ドア版があったら、良い意味でヤバイと思うのは私だけではないだろう。