トヨタ

【国内試乗】新型センチュリーの全席に乗ってみた!

1日中たっぷりとセンチュリーを味わい尽くす

サラリーマン時代に、センチュリーに乗ったり運転したりという経験がヒラ社員としては多かったこともあり、2018年6月にフルモデルチェンジした新型にも大変興味がありました。

ディーラーに展示車や試乗車があるわけでもないので見ることすら難しいこのクルマに、幸運にもほぼ一日試乗できる機会が得られました。

当時は、日本一センチュリーに乗っているヒラ社員を自負していましたが、残念ながら正式な資格を得てその席に座っていたわけではないのであくまでもたまたま、臨時です。そんな自分が新型センチュリーに一日乗ってどう感じたか?というお話です。

試乗コースは、都内街中~首都高~アクアライン~木更津一般道の往復でしたから一通りのシチュエーションは試せたと思います。

なんとも言えない威厳を感じる

駐車場で対面した新型センチュリーをまじまじと見る。気軽に近づいてはいけないような雰囲気。さすが日本のフラッグシップという感じです。

ボディ色は神威(かむい)と名付けられたエターナルブラック。おそらくセンチュリーの最量販色でしょう。

これ以外に摩周(ましゅう・シリーンブルーマイカ)、飛鳥(あすか・ブラッキッシュレッドマイカ)、精華(せいか・レイディエントシルバーメタリック)の計4色が選べます。黒が王道だと思うものの、自分としては飛鳥の漆黒の赤という感じの色が好きだし(カタログでしか見ていませんが)このクルマに合っていると思います。法人でこの色を選択する人は皆無に等しいでしょうから実車を目にする機会もなさそうですが、日本のそれなりの景色にも合ういい色だと思います。

ちなみに内装色は、『瑞響』(ずいきょう)と名付けられたウールファブリック仕様にグレー、ブラウン、ベージュの三色、『極美皮』(きわみがわ)と名付けられた本革仕様にブラックとフロマージュの二色が設定されています。試乗車は瑞響のグレー仕様でした。これも写真でしか見ていませんが、瑞響のベージュがいい感じだと思いました。昭和の応接というか、皇室の応接セットってこういう色なんじゃないかと思わせるいい雰囲気です。ということで、自分のベストチョイスは飛鳥に瑞響ベージュの組み合わせでした。

さすがの後席

発表会で開発主査から聞いたように、太いピラーにまずは自分の姿を映し、髪をちょっといじってからドアを開けました。

スカッフプレートとフロアの段差を可能な限り小さくされており、カーペットが敷かれた状態だとそこがフラット。このおかげで乗り降りが抜群に楽。特に下りるときの効果は大きく、ここに足がガシっと当たることがないことが実にいい。やや緊張しながらまずは一等地である左後席に腰かけ出発。

標準状態でも充分だけど、前席スライドを一番前に、シートバックもフルに前に倒すと空間はかなり拡がりいろんな姿勢でいられる。礼服への着替えもさほど窮屈感なくできそう。アームレストのタッチパネルを操作してシートバックをめいっぱい倒し、前席シートバックに内蔵されているオットマンをなりなりと開いて足を乗せ『瑞響』に体をあずける。そうそう、せっかくだからマッサージもオンにして……ああもう何も考えたくない。このシートでVIPたちはどんなこと考えているのかと想像してはみたものの、もしかしたら案外何も考えずに誰にも邪魔されない時を過ごしているのかもしれないとも思いました。

11.6インチリヤシートエンターテインメントシステムはBlu-rayディスクの再生もできるし、SDカード、HDMIインプットの他、Miracast、DLNA対応なのでモバイル端末の音楽や映像も再生できる。12chオーディオ・20スピーカーのプレミアムサウンドシステムはさすがにいい音を出す。シートアレンジ、オーディオ、エアコン操作などほとんどのコントロールはリアシートからも可能。

先代は“オットマン機能付助手席シート”で、シートバックの一部分を開けてそこに足を差し入れるようになっていたため運転手に足先が見えるというあまりありがたくない状態だったけど、新型はホイールベースが延びた効果でその必要がなくなったため、安心して足を伸ばせるようになった。

そのままで終わるわけにはいかないのでオットマンとリクライニングを元に戻ししゃきっと座ってみます。

サイドカーテンを開けて、意味もなく道行く人に優雅に手を振ってみます。すると、リアからフロントにかけての視界がすごくいいことに気づきます。街中のいろんなもの、例えば地面、人の動き、ビル、空、それぞれがいいバランスで目に入るんですね。

人々の街の動きを目線とほぼ同じ高さから見るというのがいいのかもしれない。この開放的で広い視界がリラックス具合にも寄与している気がします。車内の物理的空間が広いという理由でミニバンにすることも増えているように聞くけれど、視点が高いことと実はそんなに視界が広くないということもあり、何か肝心なところで世の中を見誤りそうな気がします。

発表会の時に外国人記者からセンチュリーのSUVやミニバン版は作らないのかとの質問があったけれど、それは上に述べた点からもあり得ず、セダンであることに意義があると思います。またミニバンは、優雅に開閉する電動スライドドアと高いフロアのせいで乗り降りに時間がかかるため、有事の迅速な乗降性に劣り、この点でもセダンに分があると言えるでしょう。

護衛しやすい助手席

乗り心地の方はどうか?

飛ばして走行したときのエンジン音、リアタイヤの音、ロードノイズなんかはけっこう聞こえるし、高速道路の継ぎ目や段差を踏んだときのコツコツ感は意外に大きい。このあたりは先代のV12エンジンモデルに分があるように思えました。もうちょっとスカイフック感(上からつるされていて、バネ下だけで衝撃を吸収する感)が欲しい。今の技術なら、路面の先を読んで瞬時に減衰力を変化させるくらいのことはできるはずです。

と、思いながらも感心したのは、けっこうラフな運転をしても肩が揺さぶられるようなことがないこと。このときの運転担当は、残念ながらセンチュリーの運転手としてはいかがなものかと言いたくなるような運転をしてくれたのだけど、見た目のラフさが後席での体の揺れに直結しないんです。なぜ? 減衰力可変ショックアブソーバーの効果でしょうか?

助手席からの視界もけっこう広くいろんなものが目に入る。このことは、SPや警備担当が護衛する際に不審者や不審物の早期発見につながると思います。

意外と運転が楽しい

運転してみると、音関係も乗り心地もこちらの方が快適。後席はリアタイヤのほぼ上であること、耳から近い位置にドアの切れ目があることから、運転席の方が有利なのは当然かもしれません。

アクセルもブレーキも極端な動きをしないようなリニアなセッティングにしてあるので実に自然でいい。他のクルマも同じ思想でセッティングしてくれるといいと思うのですが。

ドライブモードがノーマル、エコ、スポーツS、スポーツS+の4つもあります。センチュリーなのにS+も? とも思いますが、せっかくなので切り替えてみましたが、他のクルマほどモード間の差はないように感じました。でも一応応答性も変わるし音も若干勇ましくなり、ちょっと運転する気になります。それにしてもどんなときにこのモードを使うのか? 何やら急いでいるらしい後席の住人に、”わかってますよ、ちゃんと急いでますから”アピールするため? あるいは主を降ろして一日の乗務を終え会社や車庫に回送するときに、ちょっとスポーティに走ってみてストレスを緩和するためとか? なんて想像していました。

 

運転席からも助手席のセッティングを変更できる。

ボディへの映り込みが美しい

三度の水研ぎと鏡面仕上げまでして平滑に徹底的にこだわった塗装面は、映り込みがとてもきれいです。クルマに近づくと、歪みのない自分の姿、背景が目に入ります。これはこだわりの塗装とボディラインゆえのこと。知らず知らずのうちに心に響いているに違いないでしょう。湖面に映る逆さ富士を愛する日本人の感性ならではの部分だと思います。

このアングルだとサイドボディの「几帳面」がよくわかる。几帳面とは、平安時代の屏障具にあしらわれた面処理の技法だそう。一本筋の通ったきりっとした佇まい。このクルマの主の哲学もそうであってほしい。

トランクルームにはハンガーも備わる。ウエスやタオルなど運転手用お掃除セットをかけておくため。

にっぽん代表として輸出してほしい

これぞ日本人による日本人のためだけのクルマという感じのセンチュリーですが、だからこそにっぽん代表として輸出もして欲しい。それも数量限定で。少なくともにっぽん代表のトップである大使には乗って欲しいと思います。こんなに心と思想があるクルマは他にありません。

センチュリーの心を理解する外国人もきっといるはず。欲しいと思う人も多いんじゃないでしょうか。

 

取材・写真・文:大田中秀一
大田中 秀一

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