
オープンエアを味方に!
昨年、約20年の沈黙を破りそのネーミングを復活させた新生8シリーズに、既定路線ともいえる4シーターオープンのコンバーチブルが追加設定された。実質的には6シリーズの上級移行という位置づけの8シリーズゆえ、次に控えるのは4ドアのグランクーペ。BMWの巻き返しが始まった!
2ドア&2+2シーターのラグジュアリーカー市場において、オープンボディの占める割合は、最大需要地であるアメリカで半分以上、その他の地域でも3~4割に達するという。その中で6シリーズカブリオレは、昨年までトップクラスの販売台数を記録してきた。
名前が変わり上位移行したとはいえ、8シリーズのカブリオレには当然この大きなシェアを可能な限り継承するという大義がある。その商品力は期待値だけでなく、価格差をも超えるものでなければならない。開発にあたっての抑圧は大変なものだっただろう。
カブリオレ化にあたっての装備や寸法面においての変更点はほとんどなく、基本的にはクーペに準拠した仕様だ。幌屋根は分厚くも縫目はシームレス仕上げとなっており、上げている時のフォルムにもきちんと配慮がなされている。開閉は50km/h以内であれば走行時の操作も可能。所要時間は約15秒とそのサイズを鑑みれば充分に早い。トランク容量は350~280Lと幌の開閉時によって異なるも、クーペの420Lに対して著しい変化はなく、実用性にはきちんと留意されている。
パワー&ドライブトレインのラインアップもクーペと同じで、4.4L V8ツインターボをxDrive=四駆で受け止めるM850iと、3L直6ターボディーゼルに同じくxDriveの組み合わせとなる840dのふたつが用意される。トランスミッションはともにZF製の8速ATを採用。うち、日本市場に投入されるM850iは530psのパワーと750Nmのトルクを発揮。最高速は250km/hでリミットされ、0→100km/h加速は3.9秒とクーペに対して0.2秒のプラスとなる。日本仕様では電子制御アクティブスタビライザーを加えたアダプティブMサスペンションやMアクティブデファレンシャルなど、シャシー回りの装備はフルスペックだ。
運動性能におけるオープンのネガはほぼ皆無
幌屋根を用いたことによる耐候性や快適性への影響はほとんんど無視できるレベルといえるだろう。屋根を上げていれば車内は平穏が保たれ、凹凸を超えての軋みや速度を上げてのバタつきといった現象も無に等しい。屋根を下ろしての走行では、ディフレクターが備わるとはいえ完璧なウインドプロテクションは望めないが、髪の毛をかき乱されるような巻き込みはもちろん抑えられている。
構造芯材のカーボン化やアウターパネルのアルミ化など軽量化に抜かりはなくも、8シリーズカブリオレの重量は1トン台に収まったクーペに対して100kgは重い。が、その重さや剛性低下はクローズドコースでの乗り比べでもなければ感じることはないだろう。その位、走りはキリッと引き締まっており応答性もすこぶり高い。パワーもともあれトルクの太さは四駆をして後輪のグリップを危ぶませるほどだが、横方向のスタビリティは見事で、スポーツプラスモードでさえ簡単にリアをブレークさせることはなく路面をきっちりと捉えて粘り抜く。先代にあたる6シリーズに対して、走りは明確に運動性能推しという印象は、クーペとまったく変わることはなかった。8シリーズの展開はこの後4ドアハードトップのグランクーペが控えているが、そちらも相当ファンなハンドリングを備えることは間違いないだろう。
【SPECIFICATION】BMW M850i xDrive コンバーチブル
■全長×全幅×全高=4851×1902×1345mm
■ホイールベース=2822mm
■トレッド=前1627、後1642mm
■車両重量=2015kg
■エンジン型式/種類=-/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行径=88.3×89.0mm
■総排気量=4395cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=530ps(390kW)/5500-6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-4600rpm
■燃料タンク容量=68L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前Wウィッシュボーン/コイル、後5リンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前245/35R20(8J)、後275/30R20(9J)
【問い合わせ】
BMWジャパン 0120-269-437