清水和夫のDST

パサート vs トヨタ・カムリは装着タイヤのパフォーマンスが勝負のポイントに!【清水和夫のDST】#86-3/4

装着タイヤのパフォーマンスが勝負の行方に大きな影響を与えた

TOYOTA CAMRY G LEATHER PACKAGE

●制動距離:70.0m(★★★☆☆)

ハイブリッドというと、どうしてもカタログ燃費を気にした、転がり抵抗を重視したタイヤ性能になりがちだが、カムリが採用したBSトランザのウェットグリップは走りを意識したものだった。ウェット旋回は悪くないが、ABSの初期制動が強すぎて、ターンイン初期の舵の効きが甘くなる。2回目のテストではステアリングを早めに操舵してABSの制御をテストしたがバラツキは少なく、これは合格点。だが、パサートはカムリよりも短い距離で止まれて、ライントレースも良かったので、カムリはブレーキ性能を含めたシャシー性能に改善の余地がありそうだ。具体的にはABSのリニアリティをさらに高めたいところだ。

VOLKSWAGEN PASSAT GTE ADVANCE

●制動距離:56.5m(★★★★★)

プラグイン・ハイブリッドということで、カムリより120kgくらい重いため、少し不安な状態で挑んだが、テストでは真逆の結果になった。パサートのブレーキは、直線時の制動と同じくらいの減速Gを発生してガツーンと効く。しかもステアリングの正確性は揺るがない。フロントタイヤはまるでレールの上を走るように、イン側のラインをトレースする。一切のアンダーステアを感じないまま完全停止できたのだ。想定外の結果には驚くばかりで、何をどうチューニングしたらこうなるのか知りたくなったが、タイヤが貢献していることは間違いない。制動性能はポルシェ・レベル、いやそれ以上かもしれない。

リポート:清水和夫/K.Shimizu フォト:篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン 2018年1月号より転載
LE VOLANT web編集部

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