
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number86(SEASON.9):世界をリードするトヨタとVWのミディアムセダン両雄が対峙する
フォルクス ワーゲン・パサート GTEアドバンス vs トヨタ・カムリ G レザーパッケージ/Test03:ダブルレーンチェンジ
テストの「方法」と「狙い」:80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
フォルクスワーゲン パサート GTE アドバンス VS トヨタ カムリ G レザーパッケージ(ハイスピードライディング&ダブルレーンチェンジ編)
スポーティな走りのカムリが大健闘
TOYOTA CAMRY G LEATHER PACKAGE
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:70.44km/h(2回平均)
走りを意識して開発したとは聞いていたが、今までのカムリが苦手としていたダブルレーンチェンジは見事にクリアした。驚いたことにA地点からB地点まで速く通過させてやろうという、エンジニアの意思を強く感じた。もちろん基本性能としての安定性は問題ないし、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)の効きを最小限に抑えられており、元のレーンに戻って再加速する際にはエンジン(+ハイブリッドシステム)のレスポンスが鋭いので身のこなしが軽く感じた。「2ドアのスポーツ・クーペとして生まれくるべきだった」と思わせる実力でカムリのホットバージョンもアリではないか。
安定指向で北米でも人気のパサート
VOLKSWAGEN PASSAT GTE ADVANCE
●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:71.46km/h(2回平均)
VWパサートは北米でも人気だが、欧州ではアッパーミドルのファミリーカーとして並みいるコンペティターのベンチマークとなっている。ユーティリティ面でもパフォーマンス面でもその実力は高いが、今回のテストで感じたのは、ピレリ・チントゥラートP7のパフォーマンス。ダブルレーンチェンジはクルマの基本性能を問うテストだが、重量面ではハンデを背負うプラグイン・ハイブリッドながらハンドリングは秀逸だった。ハイスピード領域でもステアリングの手応えは良く、急な操舵ではESP(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)を意図的に強く効かせ、安定した走りを提供する。