
カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する”100万円でドロ沼に陥る!?” 今回は、S660のオリジンとして注目を集めるホンダの軽ミッドシップスポーツを取り上げます。新しいと思っていると早くも20年落ち。減少傾向にあるので、気になる向きはお早めに!
ホンダ・ビートとは?
ビートは、NSXから1年遅れの1991年に登場。世界初のモノコックボディを持つ軽オープンミッドシップという意欲作で1996年まで生産された。エンジンはトゥデイと同じ型式のE07Aを搭載するが、専用カムやシリンダーなどが組み込まれ656ccのNAながら64psを発揮する。
お日柄も良くオープンカーへの誘い
カー・マガジンで以前ケータハム・セブン160を取り上げたことがあったが、軽エンジンを搭載した魅力的なモデルは多数ある。というわけで、今回の100ドロコーナーでは、NSXに1年遅れで登場したホンダ初のミッドシップ・軽オープン、ビートを取り上げる。

<見えづらさはミッドの宿命?>ミッドに搭載される3気筒SOHCの656ccエンジンは、3連スロットルを有し俊敏なレスポンスが魅力。ちなみにレッドゾーンは8500rpmから。トランスミッションは5速M/Tのみだ。
ビートは世界で初めてオープンミッドシップのモノコックボディを採用し、エンジンは型式こそトゥデイと同じE07Aだが、8500rpmを許容するために、専用のバルブスプリングやカムシャフト、シリンダーヘッドやピストンが組まれている。さらに、3連スロットルや3 in 1のエキマニを奢るなど、やり過ぎな感じがホンダらしい1台だ。これにより、比較対象として良く挙げられるカプチーノやAZ-1はターボ過給で64psを発揮していたが、ビートはNAで同じ数値を達成した。手間とコストを惜しまず、NAならではの、エンジン回転数に比例する気持ちの良い加速を選択した点は見逃せないポイント。ちなみに、トランスミッションは5速M/Tのみだ。

<地味なれど見逃せないポイント>バージョンZの特徴として、速度計、回転計の盤面がブラック(通常はホワイト)となることが挙げられる。センターの特等席に回転計を備える。ステアリングはノンオリジナルだが、無限製が装着されていた。
生産終了から20年が経過した今も、根強い人気を誇る軽ミッドシップ
実は、セブン特集の取材で伺ったケータハム東名横浜でたまたま見つけた売り物だが、程度が良く値段もこなれており、しかもオープンカーが最高に楽しい季節ということで紹介させていただいた。この個体は1995年式のバージョンZ(1993年10月に特別仕様車として登場)で、その特徴は従来ホワイトであったスピードメーター&レブカウンターが黒の文字盤となっている。その他、リアスポイラーやマッドガードなどが標準で装着されたいわばお買い得モデルであった。さらに店主の越智さんから嬉しいポイントとして、初期モデルではR12だった冷媒が、この年式のモデルでは134aへと変更されているため、たとえガスが足りなくなっても、出費は抑えられるとのこと。もちろん現状でもエアコンはしっかりと利くそうだ。

<ほつれはあれど雨漏りはナシ>全長3295mm、全幅1395mm、全高1175mmと現代の軽規格よりもひと回り小さいため非常にコンパクト。テールレンズはS800をモチーフとしている。リアウインドーはビニール製だが、状態はまずまず。
スプリングの変更によって若干車高が落ちているが、過度なモディファイが加えられていない点は歓迎すべきポイントだ。それに、オープン状態では丸見えとなるインテリアのコンディションはなかなか良好で、シートもゼブラ柄でこそないものの張り替え済みだ。
1990年代初頭、究極の軽を目指したホンダの熱意と、オーバースペックなほどの作り込みで誕生したビートをドライブし、”ミッドシップアミューズメント”の快感を堪能したい。

<やり過ぎてません>4本出しマフラーは太鼓部分が腐食しているため修理が必要そうだ。好きなデザインに交換するのもアリ。ホイールはオリジナルで、フロント155/65R13、リアが165/60R14と前後異形のサイズが採用されている。
1995 HONDA BEAT Version Z
車両購入価格:598,000 円
季節柄度 ★★★★★
スモールミッド度 ★★★★
ドロ沼度 ★★★
NAながら軽規格上限の64psを発揮するエンジンや、5速M/Tのみをラインアップするなどホンダが考える、走る楽しさを具現化し提案した記念すべきモデル。季節、そしてタマ数の減少を考慮すれば迷っている暇はない!?
【SHOP INFORMATION】
ケータハム東名横浜
住所:神奈川県相模原市南区上鶴間2-6-3/電話:042-702-9526/営業時間:11:00-20:00/定休日:水曜日、第1&3火曜日