ドライバーズカーとして躍動する“7”
メルセデスとは対照的なM760Li xDriveは、V12をターボで武装し、スーパースポーツ並みのパワーとトルクを誇っている。サスペンションやタイヤまでドライバーズカーとして開発されているため、ドライビングプレジャーは申し分ない。
高速周回路での乗り心地は、硬めのサスセッティングと感じるが、快適性についても適度に躾けられており、そこにはSクラスとは違う高級車の世界観が存在する。ダンピングが効いたライドフィールはBMWらしく、ハンドリングはダイレクトで、スロットルレスポンスもシャープ。大きなサルーンに乗っていることをつい忘れてしまいそうなほどだ。SクラスのV8よりもはるかに加速力は鋭いが、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)でドライブするのも悪くない。
昨今、プレミアムブランドのSUVが人気だが、ボディウェイトは重く、背は高いので、どうしてもサスペンションは硬めとなる。また、その存在感をより強調するために、安易にスポーティにチューニングする傾向が強く、クルマの基本性能が高いサルーンをベースに考えると、今回テストしたSクラスや7シリーズのように総合力の高いSUVの登場に期待がかかる。プレミアムサルーンのレベルがここまで高まってくると、SUVに影響を与える日もそう遠くないと思った。
実力の高さを証明したテスト結果だったが、“S”と“7”の良さを取り込んだ日本を代表するプレミアムサルーン、新型レクサスLSについても、次の機会にはぜひその実力を試してみたいところだ。