
カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。今回は、FR時代のアルファロメオを取り上げます。先進的な機構を取り入れ過ぎたばかりに整備が……、なんて話を耳にしますが、この個体はアタリです!
アルフェッタとは?
1972年に登場したアルフェッタには、トランスアクスルやド・ディオン・アクスル、インボードディスクなど、それまでのベルリーナとは一線を画す先進のメカニズムが奢られていた。ボディバリエーションは、4ドアセダンの他、写真の2ドアハッチバックも用意されていた。
今回の”100ドロ”では、アルファロメオSZ(ES30)と多くの共通点を持つアルフェッタを取り上げたい。同時期にラインナップされていた75と、パワートレーンを共有していたため比較されやすいが、遡ればアルフェッタがルーツとなるだろう。
<古典と先進の融合>フロントに搭載されるエンジンは、アルミブロックの1.8L DOHCユニットで、キャブレターは2基備わる。トランスミッションは5速マニュアルで、シフトの感触は硬質とは言わないが的確で節度がある。
トランスミッションとデファレシャルギアを一体化したトランスアクスルレイアウトにインボード式ディスクブレーキ。そしてサスペンション形式は、リジッド・アクスルと決別し、ド・ディオン・アクスルを採用する。登場まで20年ほどの差があれど、SZの素地はアルフェッタが作ったといっても良いだろう。それほどにエポックな1台なのだ。
<シートはリフレッシュ済み>フロントシートは変更されているようだが、コンディションは申し分なし。クッションに張りがあり感触は良かった。また、リアのシート表皮も貼り直されているようで、こちらの状態も良い。
凝った機構を持ったアルフェッタだが、デザインは実用性の高さを見た目で体現したようなボクシーなスタイルで、SZのような強烈な個性とは無縁。後席のスペースもシッカリと確保されている。外見より中身で判断すべきクルマなのだ。それだけに、中身(パワートレーン)に重責がかかるが、現車では全く問題なし。むしろ走りを楽しめる状態だ。
目を見張る突飛な所はないが、カラダに馴染む心地よさがある
今回は試乗する機会を得たが、整備されていないアルフェッタの特長として真っ先に上がる、あいまいなシフトフィールとは無縁であったことを最初に伝えておく。クラッチを奥までしっかり踏み、シフトレバーを乱暴に操作しなければミスすることもないだろう。素早いシフト操作は、オーナーとなってクルマと慣れ親しんだ時に試せばよいことであり、オーナー特権としてお譲りしたい。なおこの時代のアルファに共通する防錆処理の甘さ、そして鉄板自体のクオリティの問題からサビの進行が気になるところだが、現車は前オーナーの手で適切に保管、維持されていたようで、すこぶるコンディションが良かったことも付け加えておく。
古典と革新を、落ち着いたボクシーなボディで内包したアルフェッタ。アルファの魅力はクーペのみにあらず、という言葉を改めて実感することが出来る稀有な個体であった。
<優れた視認性で使い勝手良し>丸形5連のメーターは、左から5700rpmからレッドゾーンとなるレブカウンター、燃料計、時計、水温系、マイル&km並記のスピードメーターとなる。ダッシュ、ウッドパネルともに良好なコンディションが保たれている。
<丁寧に乗られた形跡がチラホラ>ヘッドライトは片側丸目2灯。取材車には『AROC JAPAN』のバッヂが装着されていた。正規輸入車には、いたずら防止のため給油リッドに”SUBARU製”のキーが付いた。ラゲッジスペースは高さ、奥行きとも十分に確保されている。ドア内貼りの状態も非常に良好だ。
1977 ALFARMEO ALFETTA 1.8
車両本体価格:1,598,000円
伝統と革新度 ★★★★★
ベルリーナ度 ★★★★
ドロ沼度 ★★★★
スペシャルモデルではなくフツーに乗れるクルマであったこと、また防錆処理や鉄板の品質の粗さなどで、良好なコンディションを保ったアルフェッタは年々減っており、納得できる個体を探すとなると間違いなく苦労する。キャブエンジンのフィーリングと、凝ったメカニズムの融合を本来の味で体感したい方は、間違いなくチェックしておくべき1台だ。

<外ではなく乗り手にアピール>派手さはないが、センター出しのマフラーなどさりげない演出が心憎い。オリジナルのオーバーライダーやホイールキャップが残るなど、前オーナーによって大切に乗られてきたことが伺える。
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デルオート
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