ドアハンドルは、シリーズ初のポップアップ式に
メルセデス・ベンツのフラッグシップサルーン、「Sクラス」の次期型プロトライプがカメラに捉えられた。正式にSクラスと名乗ったのは1972年にデビューしたW116型以降だが、通称「タテ目(ヘッドライト形状に由来)」や「ハネベン(テールフィンに由来)」などと呼ばれた源流的モデルを含めれば、その歴史は優に半世紀を超える。また、常にメルセデス・ベンツの“最先端”が投入されてきたことも伝統のひとつだが、この次期型でもそれは受け継がれるようだ。
「MRAプラットフォーム」をベースにした次期Sクラスのテスト車は以前に見られたボンネットフード、ドアパネル、Dピラーなどに施された厳重な艤装が外された状態で登場。そのシルエットは、現行モデルより良い意味での軽さを感じさせるクーペテイストがミックスされた出来栄えだ。細部はさすがにカモフラージュされているが、フルマトリックス・ヘッドライトを装着。リヤエンドには、ダイナミック・ターンシグナルを備える「CLS」に似たLEDテールライトの一部が確認できるほか、これまで隠されていたポップアップ式のドアハンドルもその形状が確認できる。
一方、インパネにはテスラ風の縦型タッチスクリーンを装備。運転モードをはじめ、多彩なインターフェイスが集約されている模様。現行型は2枚のスクリーンを並べるレイアウトだが、次期型ではメーターとセンターディスプレイは分割されている点が新しい。また、安全技術では「ディストロニック・アクティブ・プロキシミティ・コントロール」と「アクティブ・ステアアシスト」の進化バージョンを搭載。レベル3の半自立運転の導入が確実視されている。
パワーユニットは直列6気筒ディーゼルターボやV6ツインターボのほか、2.9L V6ガソリンツインターボ+電気モーターを搭載するPHEVモデルなどをラインアップ。この仕様はEVモードで62マイル(約100km)の航続距離実現が目標とされているという。また標準的次期SクラスのMRAとは異なる、新しい「MEAプラットフォーム」を採用したSクラスのピュアEV、「EQ S」が投入される可能性も高いという。その全貌が明らかになるのは、いまのところ2020年内という説が有力だ。