タイヤのコンディションがテスト結果に大きく影響
アウディR8は、兄弟車であるランボルギーニ・ウラカンとの差別化を図るために「洗練されたスポーツカー」という立ち位置を採っているのは理解できる。だが、テスト結果からすると、踏力が必要なブレーキ性能に加え、ESCの作動が甘くなるウェット路面での限界性能は洗練されているとはいえなかった。もともとクワトロを武器としてきたアウディだけに、ミッドシップのスポーツカーは似合わないのかもしれない。むしろ、その歴史が長いランボルギーニに資源を集中した方がグループとしては効率的ではないだろうか。
というのも、アウディはすでにフォーミュラEの参戦を決定。ポルシェのミッションEのプラットフォームを採用したeトロンGTを軸に、アウディスポーツのブランドを再構築するような動きがある。フェラーリでさえ、’19年以降はガソリンエンジンだけのモデルが消滅するという流れのなかで、アウディもまた自社のスポーツカーを電動化する戦略を示している。その意味では、V10自然吸気ユニットをミッドシップに収めるR8は逆に稀少価値が上がるのかもしれないが……。
限界性能に難はあったR8スパイダーだが、リアルスポーツらしく、高速周回路では一体感があって気持ちがいい。オープンカーといえどボディ剛性は高く、コルベットZ06や911GT3のように、とんがった感じがないのが良いのかもしれない。量産のロードカーとしての扱い易さは美点のひとつとなっている。