清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number89 SEASON.9:リアルスポーツとして光る存在感、対極に位置するR8スパイダーとZ06
シボレー・コルベットZ06 vs アウディR8スパイダー/Test01:加減速テスト
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G-1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
シボレー コルベットZ06 VS アウディ R8 スパイダー(加速編)
シボレー コルベットZ06 VS アウディ R8 スパイダー(減速編)
Z06が数値以上にR8を凌駕、減速テストでは圧巻の“G”を記録
AUDI R8 SPYDER
加速:0.65G(★★★★☆)/減速:1.17G(★★★☆☆)
V10ユニットは本当に気持ちよく回る。加えてエンジン回転の上昇スピードと車速が絶妙にマッチしており、発進時こそツインクラッチ特有のもたつき感はあるが、クラッチが繋がったら加速は強烈。7000rpm付近からエンジンの二次振動が出始め、「V12ならこの振動はない」とちょっと贅沢な注文をつけたくなったが、オープンカー特有のエキゾーストサウンドがコクピットに飛び込んできてかなり刺激的だ。ブレーキは効きこそ文句ないレベルだが、踏力に対して制動がビルドアップしてこず、やや鈍重。普通の踏み方では制動Gが上がらないため、一般道での走行には注意したい。
CHEVROLET CORVETTE Z06
加速:0.66G(★★★★★)/減速:1.26G(★★★★★)
880Nmという途方もないビッグトルクは、V10のR8スパイダーを圧倒する。トラクションコントロールをオフすると極太なリアタイヤは白煙を上げながら空転するため、オン状態でエンジンパワーを絞って発進。それでも弓から放たれた矢の如く、猛烈に突進していく。0→100km/hの公式加速データは3秒を切る、ポルシェ911ターボSとほぼ同等の性能が与えられており、その数値も納得の加速感だった。ブレーキは踏んだ瞬間から「カコーン!」と制動Gが立ち上がり、そのストッピングパワーで推進力を瞬殺。特に減速テストではハイレベルなGフォースを発した。
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