清水和夫のDST

際立つアウディR8スパイダーの高い資質にどこまでシボレー・コルベットZ06が迫る!?【清水和夫のDST】#89-4/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)

Number89 SEASON.9:リアルスポーツとして光る存在感、対極に位置するR8スパイダーとZ06

シボレー・コルベットZ06 vs アウディR8スパイダー/Test03:ダブルレーンチェンジ

●テストの「方法」と「狙い」:80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC(横滑り防止装置)など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。

シボレー コルベットZ06 VS アウディ R8 スパイダー(ダブルレーンチェンジ編)

シボレー コルベットZ06 VS アウディ R8 スパイダー(ハイスピードライデイングテスト)

際立つR8スパイダーの高い資質

AUDI R8 SPYDER

●操縦安定性:★★★★☆
●平均通過速度:76.75km/h(2回平均)

ミッドシップのダブルレーンチェンジは限界性能が高いだけに、その領域を捉えにくい。R8スパイダーはステアリングをどんなに速く操舵してもノーズが鋭く反応して動くから、逆にいつリアがブレークするか不安だったものの、リアが流れるポイントは掴みやすかった。やはりクワトロ=AWDの特性が功を奏しているようである。さらに思い切って急ハンドルを切って隣のレーンに移動しても、ほぼニュートラルステアを保ったままで、トラクションコントロールが介入せず、狙った位置に車体を収めてしまう。シャシーの限界性能が高いため電子制御に頼らず、俊敏な走りができるのが痛快だった。

Z06もリアルスポーツの本領発揮

CHEVROLET CORVETTE Z06

●操縦安定性:★★★☆☆
●平均通過速度:78.15km/h(2回平均)

R8スパイダーと違ってフロントに大きなV8エンジンを搭載するゆえに、ダブルレーンチェンジは苦手な種目かと思っていたが、そんな心配は無用だった。ブレーキングして素早くステアリング操作すると、気がつけば隣のレーンにいる感覚だ。ただし、そのワープ感はアクセルオフ状態での挙動であって、次に元のレーンに戻ろうとアクセルオンすると、V8エンジンが発する880Nmの超絶トルクが挙動を乱しにかかる。そうなったらもう手がつけられない。リアが一度暴れ出すと、ハイスピード領域でも変わらない秀逸なハンドリング性能が仇となって、コントロールすることが一気に困難になる。

 

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2018年4月号より転載
LE VOLANT web編集部

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