BMW

【国内試乗】「BMW 8シリーズ・カブリオレ」これがBMW流儀のラグジャリー

ラグジャリーでいてスポーティな走りを実現

もちろん、ピュアスポーツとしての位置づけも損なってはいない。サスペンションには、ダンパーの減衰力とスタビライザーの強さを連続可変制御するアダプティブMサスペンション・プロが組み合わされる。ディファレンシャルは差動制限を0-100%まで連続可変制御するMアダプティブ・ディファレンシャルを装備。走行モードがスポーツなら、手応えがやや重めのステアリングにより、狙いを定めた通りの走行ラインを正確にトレースできる。

エンボス加工されたアイボリーのトリムが上品さを際立たせる。前席にはエアカラーと呼ぶヘッドレスト一体型の温風口を装備。季節を問わず快適なオープンドライブを楽しめる。

なおかつ、エンジン音が周囲の空気を振動させるので、それが全身で浴びるように聞こえてくる。アクセルを踏み込み続けると中回転域から輪郭がクッキリとしたビートを刻み、高回転域では迫力ある低周波サウンドが重なる。シフトアップの際にはババッ、アクセルを戻すとバリバリッというパルスが弾け、操作の通りにクルマが反応する臨場感が際立つ。

トランク容量はクローズ時で350L、ソフトトップが格納されるオープン時で285L。パーソナルユースならいずれも必要十分といえる。

ただ、こうした演出は、最高級ラグジャリーオープンとしてはやや過剰だ。やはり、カブリオレの走行モードはコンフォートがふさわしい。景色や風の流れにより速度感が増幅するので、フル加速しコーナーを攻めるまでもなく、ラグジャリーでいてスポーティな走りを実現。ソフトトップを閉じれば、そんな余韻にも浸れるのだ。

ホイールはマルチスポークの20インチが標準。Eデフや可変ダンパーなどシャシーは完全に電子制御化され安定性は盤石といえる。

フォト:郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年7月号より転載
萩原秀輝

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