清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト（Dynamic Safety Test）
Number92 SEASON.10：日本を代表するディーゼルSUVが先人たるヨーロッパの雄に挑む
プジョー5008 GT ブルーHdi vs マツダCX-8 XD 2WD Lパッケージ／Test03：ダブルレーンチェンジ
●テストの「方法」と「狙い」：80km/hでコースに進入、障害物を回避してふたたびもとのレーンに戻るテスト。シャシーの総合性能、ESC（横滑り防止装置）など挙動安定化装置の能力をみる。そして、ドライバーが安心して操作できるかどうかも評価の対象となる。パニックに陥ったドライバーでも正確に操作できなくては、クルマが優れたシャシー性能を持っていても意味がないからだ。
プジョー 5008 GT BlueHDi vs マツダ CX-8 XD 2WD L パッケージ（ハイスピードライディング＆ダブルレーンチェンジ編）
基本のダイナミクスは両車どちらも高い
MAZDA CX-8 XD 2WD L PACKAGE
●操縦安定性：★★★☆☆
●平均通過速度：67.31km/h（2回平均）
ダブルレーンチェンジはどんな電子デバイスを持っていても、基本の運動性能が高くないと俊敏な動きはできない。背が高いSUVやミニバンには辛いテストとなるが、CX-8のステアリングを急に切ってレーンチェンジしてみると、ホイールベースは長いものの、CX-5と同じような動きで、3列シートのSUVとしては俊敏だった。元のレーンに戻る際は、スピードが高いので、少しアンダーステア気味となり、操作量が増えてしまう。その結果、一連のステアリング操作が少し難しい。ダイナミック・スタビリティ・コントロール（DSC）をもう少し強めに制御し、通過速度を下げてもいいだろう。
両車それぞれに各部の熟成が必要だ
PEUGEOT 5008 GT Blue Hdi
●操縦安定性：★★★☆☆
●平均通過速度：67.80km/h（2回平均）
同じ3列シートのSUVだが、オールシーズンタイヤがどう影響するのか興味があった。CX-8と異なり、急ハンドルを切った瞬間にESPがしっかりとブレーキ介入し、車速を落としてくれる。ステアリングに対するボディの動きはサマータイヤほどではないが、特にステアリングの反応が遅れることはなかった。その意味ではオールシーズンの悪影響はない。ESCはブレーキを制御している時間が長いので車速は安定しているが、制動介入するとステアリングが重くなる場面もあった。ESCと電動パワステの制御連携はもう少し洗練度が増して欲しいところだ。しかしシャシー性能の高く、安定感は秀逸。
