国内試乗

【国内試乗】「トヨタGRスープラ」17年ぶりに復活したトヨタのリアルスポーツカー!

ベースモデルのSZもまさにリアルスポーツだ

操縦性は、与える舵角や操舵速に対して正確そのものだ。そのため、タイトコーナーが連続する場面でもステアリングをズバッと切れば長いノーズがズバッと向きを変える。走行モードをスポーツにすると、ステアリングの手応えが重くなりダンパーの減衰力が高めの領域で維持されるのでダイレクト感がより際立つ。こうした特性は、まさにワイドトレッドでショートホイールベースとした効果といえる。基本性能の段階で、ピュアスポーツとしてのポテンシャルを高めているわけだ。
さらに、直列4気筒直噴ターボエンジンを積むSZや高性能版のSZ-Rになると操縦性の軽やかさも楽しめる。何しろ、直列6気筒と比べると直列4気筒はエンジン重量が約70kgも軽い。ステアリングの手応えもRZのガッシリ系とは異なりスッキリ系なので、コーナー進入時はズバッとではなくスイッという感じで長いノーズが向きを変えてくれる。

スープラのホイールベースは、2シーターに割り切ることで86よりも100mm短い2470mmを実現。また、重心高は86よりも低いという。

SZ-Rは、走行モードをスポーツにするとダンパーの減衰力が高めの領域で維持される。そのため、コーナー脱出時にステアリンを戻しつつアクセルを踏み始めると、リアタイヤに駆動力が伝わり腰を前へ押す感覚がハッキリと確かめられる。スープラはショートホイールベースの2シーターであり、着座位置とリアタイヤが近いのでここうした実感が得やすい。
エンジンは、SZが197ps仕様でSZ-Rが258ps仕様を搭載する。ピュアスポーツにSZのエンジンではパワー不足に思えるが、それがなかなかどうして。BMW320iなどが積むエンジンと同系ユニットだが、高回転域のパワーの伸びがいい。スープラ専用の制御がされたことを、実証しているようなものだ。

インテリアはシンプルな水平基調のデザインとなる。8.8インチのTFTメーターは中央に大型タコメーターを配置。歴代のスープラは2+2だが、新型スープラは2シーター。シートはホールド性にこだわったハイバックタイプとなる。

アクセルを踏み続ければ6500rpmあたりまで加速の勢いが衰えず、直列6気筒エンジンの高回転域と同様にコォーンという乾いたサウンドを響かせる。SZ-RとRZは、エンジン音にスピーカー音を重ねているがSZは素のサウンドというのも驚きだ。エンジンとして役不足どころか、身構えることなくパフォーマンスが積極的に引き出せるという意味でも舞台が一般路なら好都合だ。
SZ-Rは、RZほどではないにせよ加速の刺激が強いだけにアクセルを踏み続けると思わず身構えたくなる。それでも、アクセルを穏やかに操作すれば強大なトルクを力強さの余裕として活用できる。モニターのトルクメーターによると、ペダルに足を乗せるようなアクセルの踏み加減でも300Nmを超えるトルクを発揮するのだからそれも当然だ。

ホイールはスポーティなデザインとされ、「RZ」が2トーンの19インチ鍛造アルミホイールを採用。「SZ-R」は18インチで、「SZ」が17インチとなる。

スープラは、間違いなく多くのファンを満足させる。ただ、ドアトリムの仕立てなど価格設定を踏まえると質感が物足りないことが何とも惜しまれる。

リポート:萩原秀輝/H.Hagihara フォト:小林俊樹/T.Kobayashi  ル・ボラン2019年8月号より転載

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