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知ってるようで知らなかったー! 国内における輸入車のセールス状況を解説

ここ最近輸入車は、電気自動車、プラグインハイブリッド、クリーンディーゼル車、そして先進安全技術や最新のコネクティッド技術を装備した新型車が積極的に投入され、好調なセールスを続けているのだ。ここでは、国内の過去の販売データを振りかえつつ、今後を展望してみよう。

コンパクトカーやSUV、そしてスーパースポーツも右肩上がりで販売が好調!

■輸入車新規登録台数の推移
※JAIA調べ輸入車新規登録台数の推移を元に作成

リーマンショックを乗り越えて過去最高を更新
1996年に日本メーカー車も含めて39万3392台(輸入車の乗用車は29万9409台)という記録を打ち立てた後、輸入乗用車は26-27万台程度がコンスタントに売れていたが、2008年のリーマンショックの影響で大きく減少。立ち直るのに3年ほどかかっている。だが、その後は買いやすい価格の輸入車が増えたのに加え、ローン金利の低下や残価設定ローンの充実なども手伝って増加傾向を維持し、2011年-2013はタイ製の日産マーチが輸入車あつかいで入ってきたことで輸入車全体の台数が増加。2016年にはその日本車の比率が下がった半面、輸入車の乗用車だけで再び29万台を超え、2017年には30万5043台とついに30万台を突破。実に21年ぶりに記録を更新している。2018年はさらに増えて輸入車の乗用車だけで30万8389台、日産マーチなど日本のメーカーを含めると34万2770台となる。ちなみに2019年は1-5月累計が前年同期比1.8%減の11万7425台とややペースダウンしているが、新型3シリーズやメルセデス・ベンツAクラスの新型車効果や魅力的なSUVの導入などで年後半は持ち直す可能性は高い。

 

■ブランド別輸入車新規登録台数の推移
※JAIA調べ輸入車新規登録台数の推移を元に作成

2015年に勢力図が塗り変わってメルセデス・ベンツが首位に
2000年以来15年にわたって輸入車ブランド首位を保ってきたフォルクスワーゲンが、その座を明け渡したのは2015年のこと。現行Cクラスの好調でメルセデス・ベンツが首位に立ち、勢力図が塗り変わった。その後、Aクラス、GLA、CLAの投入でメルセデスが台数を増やし、一方でフォルクスワーゲンはゴルフの販売が伸び悩んだり、欧州でのディーゼル不正問題などの影響もあって首位奪還とはいかない状況が続いている。BMWは2016年、2017年と2位の座を守り、2018年は3位ながら5万台超えのペースを保ち、ミニも合わせればメルセデスを上回る。ドイツ勢以外ではボルボが右肩上がりで復活を確かなものとし、ジープは他の米国ブランドを尻目に1万台超えを維持。プジョーは念願の1万台復帰が目前で、ポルシェ、ルノーも伸びている。台数は少ないがフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンといったスーパースポーツも右肩上がりで存在感を増している。

■輸入車モデル別新車登録台数トップ20
2009年〜2018年(1月〜12月)

※JAIA調べ輸入車モデル別トップ20の推移を元に作成

2016年にゴルフの牙城が崩れミニがトップに
2015年まで28年連続で輸入車モデル別トップを保ってきたフォルクスワーゲン・ゴルフ。ブランド別ランキングでは、その2015年にメルセデスに首位を譲ったフォルクスワーゲンだったが、ゴルフの牙城は守っていた。しかし翌2016年、3代目ミニがディーゼル車追加などで台数を伸ばし、一方で7代目ゴルフは新型車効果がやや薄れたこともあって台数を減らし、ミニが首位に立つ。輸入車史上に残るこのトップ交代の後も、バリエーションの充実などでミニが3年連続でゴルフを上回っている。また、ゴルフに次ぐ台数を販売し、半期では首位に立ったこともあるBMW3シリースは、2013年にクーペが4シリーズに分離されたこともあってランキング順位を下げ、代わってCクラスが3位常連となる。ドイツ勢以外ではボルボ40シリーズがXC40の好調で順位を上げる一方、2009年の11位を最高に手堅くベスト20の常連だったフィアット500が’18年にランク外に去ったのはちょっと寂しい。

左からBMW 3シリーズ、フォルクスワーゲン・ゴルフ。ゴルフVIIモデル末期ゆえにランキングの順位を下げているが、新型ゴルフVIIIが登場すれば順位に変動がありそうだ。

■車両価格帯別 輸入乗用車新規登録台数の推移

※JAIA調べ車両本体価格帯別、輸入乗用車新規登録台数の推移を元に作成。分析対象は、外国メーカー輸入乗用車新規登録車のみ。価格帯表示の価格は、東京地区車両本体価格を使用(原則として、毎年12月末現在)。価格帯分析は、同一型式に複数にモデルが設定されている場合は、そのうちの代表的なモデルの価格、またはそれらの最低価格を採用。

全体の価格上昇に加えて超高価格車が倍増
10年前の2009年はリーマンショック直後で高価格車の需要が落ち込んだが、その後300-399万円の販売が増加。2013年、2014年はVWゴルフの販売増で200-299万円が10万台を超えているが、その2年後の2016年には300-399万円が最多シェアを奪っている。メルセデス・ベンツが首位に立った時期とほぼリンクするが、2018年にはワンランク上の400-499万円も200-299万円を上回り、輸入車の価格帯は完全に上方にシフト。円安が続いたことによる輸入価格上昇も加味されたと見られる。また、見逃せないのが600万円以上の価格帯で、10年前に比べて900-999万円は2.2倍、1000-1999万円は2.6倍、2000万円以上は3.7倍にも増えている。株価の上昇などを背景に、いわゆる富裕層の輸入車購買欲が高まったようだが、一方で興味深いのが2016年、2017年と1万台を切っていた199万円以下の輸入車が2018年は倍近くに増えている点だ。

左からランボルギーニ・ウルス、ポルシェ911 カレラ4S。ヒットしているウルスは2816万円。新型911カレラSは1666万。今年は増税もあり輸入車の価格設定は気になるところ。

ル・ボラン2019年8月号より転載

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