自動車型録美術館

フォード・コメット/ファセルが手掛けたフランスらしいエレガントなスタイル【自動車型録美術館】第15回

FORD COMETE/フォード・コメット

今回とりあげるコメットは、フランス生まれのフォードです。

フランス・フォード最後のクルマ

日本から撤退したフォードですが、かつてはフランスにも生産拠点をもっていました。コメットは1951年から、1954年にフォードがフランスの生産拠点をシムカに売却するまで、フランスのフォードで生産されたクルマです。シムカはその後、シムカ・コメットとして1年ほど同車の生産を続けました。

ボディはファセル

フォード・コメットの特徴で、大きな魅力となっているのは、フランスらしいエレガントなスタイルではないでしょうか。それもそのはず、コメットのボディは、ファセル・ヴェガで知られる、あのファセルによってつくられているのです。ちなみにファセルはForges et Ateliers de Construction d’Eure et Loire(ユール・エ・ロワール金属加工・鈑金製作所)の頭文字で、その名を冠した自らのクルマをつくり始めるのは1954年のことです。

3種のエンジン

コメットには3種類のエンジンがあります。1951年から翌’52年までは2158ccの90度V8。1953年にそれが2355ccとなり、1954年からは3923ccのV8です。4リッターのV8からはボンネットにダミーのエアインテークが備わり、エレガントさが少し失われます。スタイルとしては小排気量のV8モデルの方が断然美しいと思っています。

フランス発フォードとファセルのハイブリッドです

表紙に踊るV8の文字がいかにも誇らしげです。フランスらしい比較的小排気量のエンジンでありながらV8。しかもボディを担当しているのは、かのファセルです。カタログを開くと、控え目ながらFACELの語がでてくる一文がありますので、この機会に是非ご確認ください。フォード、ファセル、そしてフランス、と頭文字Fが重なることによる抗しがたい魅力。わたしも時折、古いクルマとの生活を考えたりするのですが、そのような時に思い描くクルマのなかで、このフォード・コメットは常連の1台です。おそらく、走らせて格別たのしいクルマではないかもしれません。それでも魅かれるのは、特にルーフまわりのたおやかさに代表されるスタイリングなのです。

ファセルといえば自前のヴェガやファセリア、そしてHK500などを思い浮かべる方も多いことでしょう。それらも充分に魅力的ですが、わたしの一押しはベントレー・マークⅥのシャシーをベースとしたクーペです。ベントレー・マークⅥのスタンダードスティールボディと較べると、ファセルによるベントレーは実に小粋です。ファセル・ベントレーの特徴的なルーフは、フォード・コメットにも継承されているように感じられます。
●サイズ(縦×横)210mm×278mm●全8ページ

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン467号(2017年5月号)より転載
CAR MAGAZINE編集部

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