市販モデルの発表は2022年。市場導入は2025年頃の見通し
BMWはフランクフルト・モーターショー2019において、燃料電池電気自動車(FCEV)のコンセプトモデル「BMW i Hydrogen NEXT」を初披露した。
写真からも察しのつくように、このコンセプトカーは現行「X5」がベース。車名に「Hydrogen(ハイドロジェン)」を表記するとおり、水素をエネルギー源にした電気駆動モデルだ。
同社では2022年に市販モデルを発表する計画で、市場への導入は2025年頃を予定しているが、そのタイミングは市場の要件や全体的な状況によるとのこと。
ご存知のとおり、「BMW i」はこれまで「i8」や「i3」などを展開しているサブブランドだが、今後はBMWのすべての新技術のインキュベーターとして機能させていくとのこと。
披露されたコンセプトカーには、同社が「BMW iブルー」と呼ぶ専用パターンの柄がボディにあしらわれるほか、キドニーグリルやエアインテーク、ホイールなどにブルーの差し色が入る。エキゾーストフィニッシャーを持たないリヤエンドは、このモデルがゼロエミッションカーであることを明確に示している。
水素の充填に必要な時間は4分未満。水素燃料電池車は、長い航続距離や快適性、豊かなトルクによる確かな牽引能力、そして季節を問わず安定した性能を発揮する。その一方で、多くの地域において供給インフラは開発途上にあり、その解決が課題となっている。
同ショーでBMWがFCEVコンセプトを披露した背景には、電動モビリティの先駆者を自負するメーカーとして、純エンジンやハイブリッド、BEV(バッテリーEV)だけでなく、パワートレインの可能性を広く研究している姿勢をアピールする狙いがある。これは世界中の幅広いユーザーニーズをカバーする単一のソリューションはなく、あらゆる選択肢を模索する必要があると同社が考えているからだ。
燃料電池技術に関しては、2013年よりトヨタと共同開発を進めており、2015年には「BMW5シリーズGT」をベースにしたプロトタイプを製作、実証実験を行っている。さらに両社は2016年に燃料電池開発におけるパートナーシップを正式に締結。燃料電池車用のスケーラブルなモジュール式コンポーネントの開発に加えて、インフラの構築や燃料電池の発展に向けた取り組みを進めている。