フォルクスワーゲン

【国内試乗】「フォルクスワーゲン eゴルフ」中身はピュアEV、定番の魅力を失わない見事なコンバート技術

見た目はグローバルCセグハッチの定番ながら、その中身はピュアEVというこのゴルフ。EV専用プラットフォームが完成間近という過渡期に生まれたオルタナティブではあるが、ドイツ車らしいガッシリ感と、見過ごすにはあまりにも惜しい完成度にご注目あれ!

たとえBEVになってもドイツ車らしい重厚さ

ゴルフの特徴のひとつに幅広いラインアップを誇ることもあるが、現行の7世代目はBEVやプラグインハイブリッドまで揃えたということで、おそらく今後も品揃えで抜かれることはない。フォルクスワーゲンはまもなくBEV専用プラットフォーム「MEB」を採用したIDシリーズをデビューさせ、e-ゴルフはその役目を終えることになるからだ。

エクステリアも定番のゴルフそのもの。唯一、低転がり抵抗タイヤと空気抵抗の低いデザインのアルミホイールが専用装備となる。

当初は2015年に日本での展開を始める予定だったが、チャデモ急速充電対応などの課題が発生し、上陸を果たしたのは2017年になってから。長らく待たされた感はあったが、バッテリー容量は初期の24.2kW/hではなく35.8kW/hだったのでかえって幸いだった。
日本では同じCセグメント・ハッチバックのリーフがデンと待ち構えていて、スペック的にはほぼ同等かややリーフ有利といったところ。だが、走らせてみればさすがはゴルフ、走行時の質感の高さは圧倒的でBEVになってもシャシー性能は重要なのだと思い知らせてくれた。

200V15A電源なら約12時間で100%、CHAdeMO式急速なら約35分で80%充電が可能な高電圧バッテリーを床面に格納。電気モーターはエンジンルームに搭載している。

基本はエンジン車用に設計したMQBのプラットフォームながら、重量増となってもドイツ車らしいガッシリ感は失われず、むしろ重厚な乗り味なのが心地いい。回生に対する考え方はi3やリーフのワンペダル系とはちょっと違い、デフォルトのDレンジでは回生ゼロ。マニュアル操作によってD1、D2、D3など回生の強さを任意に選べるようになっている。回生ゼロも巡航時の実用燃費には効くので、ドライバーに選ばせるシステムなのはありがたい。せっかくならパドルシフトが欲しいところではあるが……。
このe-ゴルフで得た知見が、IDシリーズにどのように反映されていくかが楽しみだ。

タコメーター部がバッテリー状況の表示となり、オートエアコンに省電力なヒートポンプ式を採用する以外は、スタンダードなゴルフと操作系統および機能装備は共通する。

【Specification】VOLKSWAGEN e-GOLF
■全長×全高×全幅=4265×1800×1480mm
■ホイールベース=2635mm
■車両重量=1590kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■バッテリー容量/電圧=35.8kWh/323V
■モーター型式/種類=EAZ/交流同期電動機
■最高出力=136ps(100kW)/3300-11750rpm
■最大トルク=290Nm(29.5kg-m)/0-3300rpm
■航続距離=301km(JC08)
■サスペンション(F:R)=ストラット:4リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/55R16:205/55R16
■車両本体価格(税込)=4,990,000円
お問い合わせ
フォルクスワーゲングループジャパン 0120-993-199

フォト=篠原晃一/K.Shinohara ル・ボラン2019年10月号より転載
石井 昌道

AUTHOR

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。自動運転や電動化への造詣も深い。

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