EVながらゲトラグ製6速MTを搭載!
フォードはこのほど、ヴェバスト社とのコラボレーションによりマスタングのEV仕様「マスタング・リチウム」を開発したと発表した。
他の自動車メーカーと同様に、フォードも現在EVに積極的な姿勢を見せている。同社は2022年までに115億ドル(約1兆2553億円)以上をEV分野に投資。2020年にはピックアップトラックの「F-150」やSUVの「エクスプローラー」、「エスケープ」にハイブリッド仕様を設定するほか、2020年には「F-150」のピュアEV仕様や、マスタングのデザインテイストを反映した電動SUVを登場させる計画だ。
そんなフォードがこのたび発表した「マスタング・リチウム」は、最出力900ps以上、最大トルク1355Nmを引き出すEVパワーユニットを搭載。高水準のアウトプットも驚くが、トランスミッションにゲトラグ製の「MT82」6速MTを組み合わせている点も特色だ。バッテリーは現在の一般的なEVに搭載しているものの約2倍の電圧を誇る、ヴェバスト社製800Vシステムだ。
0-100km/h加速タイムや最高速といった各種データは未発表だが、カーボンファイバー製ボディパネルやトルセン製デファレンシャル、ストラットタワーブレース、シェルビー350GTにも採用されたブレンボ製6ピストンフロントブレーキ、20インチ鍛造ホイール、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを採用しているというから、パフォーマンスの高さは推して知るべしといったところだろう。
走行モードはドライビングシーンに応じて「Valet」、「Sport」、「Track」、「Beast」が設定され、センターパネルに配置される縦型10.4インチディスプレイで選択が可能だ。
そのほか、フォードパフォーマンス製のトラックハンドリングパックやポリカーボネイト製シースルーウインドー付きフロントフード、ボディサイドやリヤのスプリッターやディフューザーといったアイテムが、このモデルのルックスを特別なものにしている。
フォードの説明によれば、このモデルを市販化する予定は今のところなく、マスタングという多くのユーザーに愛されているモデルにEVパワートレインを搭載するとどうなるか示す一例に過ぎないという。とはいえ「マスタング・リチウム」のルックスは、まるでアメリカンマッスルカーがEV化されてもクールと表現できることをアピールするかのようである。