自動車型録美術館

シムカ1000ラリー1・2/国が違えば同じクルマでも名前も変わる地味派手代表の一台【自動車型録美術館】第30回

SIMCA 1000 RALLYE 1・2/シムカ1000ラリー1・2

発足時からイタリアとの縁が深いシムカは、アバルト・シムカなど魅力的なクルマを多く輩出しています。今回は地味派手代表の一台です。

シムカという会社

同じクルマでも、国が違えば名前も変わる例は過去に多く存在しました。税制の関係でフィアットをフランスではシムカとして売る、シムカの発端を探るとフィアットに行きつきます。
その後もシムカ・ゴルディーニとしてレースに参戦するなど、シムカは興味深い歴史を刻んでいます。
箱型のフランス車でリアエンジン・リアドライブといえば、まずルノー8が思い浮かびますが、シムカ1000の登場はルノー8よりも少しだけ早いのです。シムカという会社、知れば知るほど面白いです。

シムカ1000

シムカ・ラリーを正しく表記すると、シムカ1000ラリーとなります。シムカ・ラリーには、ラリー、ラリー1、ラリー2、ラリー3の4種類が存在し、1000とは名ばかりで、ラリーが1118cc、ラリー1・2・3は全て1294ccです。車名の数字と排気量が異なるのもよくある
話で、一例をあげるならばボルボ1800ESは実は2000ccです。
シムカ1000に戻ると、ラリー1・2・3のエンジンは全て1294ccですが、エンジンのチューンが異なっていて、最も強力なラリー3は103馬力です。古いカーグラフィックに掲載されていたルノー8ゴルディーニの広告で、1255cc 103馬力と謳われていたことを、つい思い出してしまう数値です。

小さな速い箱というジャンルがあれば隠れた逸材の一台です

シムカが、かつてアメディ・ゴルディーニと組んでレースを戦っていたことや、シムカ1000ラリー3の103馬力という数値、そしてなによりそのいでたちから、どうしてもルノー8ゴルディーニを想起してしまいます。是非この機会にもう一度本稿の第17回でとりあげたルノー8ゴルディーニのカタログをご参照ください。R8に較べると、ややマイナー感のあるシムカ1000ラリーシリーズは、知名度的に控え目な分だけ、地味派手感が際立っているように思えてなりません。R8ゴルディーニやNSUのプリンツttsなどとともに、シムカ・ラリー1・2は、小さな速い箱として忘れてはならない一台だと思っています。

シムカ関連のカタログとして、アバルトとのダブルネームのものがいくつか思い浮かびます。まず、1000と同じボディによるシムカ・アバルト1150、そしてシムカ×アバルトといえば、アバルト・シムカ1300と2000。これらのカタログはどれも小さく簡易なものばかり。そのため、いつもどこかに紛れてしまいます。いずれ探し出して、こちらでご紹介できればと考えています。

●サイズ(縦×横)295mm×210mm ●全10ページ

 

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