SUVということを忘れそうなほどダイナミックな走りを披露するX3M
一方、X3Mの走りは対照的だ。専用チューンのシャシーは、コンフォートモードでもはっきりと硬く、角は取れているものの路面状況がビンビン伝わってくる。ドライバーの操作に対するレスポンスも極めてダイレクトで、右足を軽く踏み込めば、3L直6ツインターボは即座に強大なトルクを発生させて4本のタイヤが路面をかきむしり、手応えのあるステアリングを切り込めばノーズがグイグイと向きを変え、SUVであることを忘れそうになるほどダイナミックな走りを披露する。X3Mも正真正銘のMモデルなのである。
インテリアの作りを見ても、Fペイスは明るい色のレザーを多用して、スポーティな中にもエレガンスを感じさせるソフトな印象だが、X3Mはダークな色味のレザーとカーボンやメタルパーツで、機能優先の硬質な空間に仕立てられている。2台の方向性の違いは、こんな所からも感じられる。
目指す所が違うのだから、この2台に甲乙を付けるのはなかなか難しい。英国車的なスポーティネスが好みならFペイスを、ニュルブルクリンクやアウトバーンで鍛えられたマッシブな走りを味わいたいならX3Mを選べば、必ず満足できるはずだ。