手厚い購入サポートもさすがメルセデス
減速にはエネルギー回生を積極的に使うことができる。通常のDレンジの場合、アクセルオフでは軽めの回生が行われるが、そこから左側のパドルを1度引くと中程度の回生ブレーキが得られるDーに、さらにもう1度引くとDーーになりほとんどの場面でワンペダルドライブが可能になる。一方、Dから右側パドルを引くとD+となりコースティングが行われる。
快適性の高さもEQCの美点だ。リアにエアスプリングを用いたサスペンションが姿勢を常にフラットに保ち、余裕あるストロークを活かして、しなやかに路面に追従する。しかもフットワークも、重心の低さや前後重量配分の良さが貢献しているのか非常に懐深い印象で、250kgという車重を忘れてしまうほど意のままにコントロールすることが可能なのである。
こうしたEQCの走りは、まさしくメルセデス・ベンツだと評するほかない。静かで、滑らかで、重厚な走りに、ドライバーを絶対に裏切らないドライバビリティは、まさにメルセデス・ベンツが130年以上にも渡って追求してきた境地そのもの。電動化が、それを究極に近いかたちで実現させたのが、このEQCなのだ。
このEQC、ユーザーには全国約2万1000基の充電器利用料、月額基本料を1年間無料にする「Mercedes me Charge」が用意され、さらに5年もしくは10万kmまでの修理、メンテナンス、24時間ツーリングサポートが無償となるEQケアも適用。しかも、その期間中に5回まで、車両の週末貸出サービス「シェアカー・プラス」も利用できる。
バッテリーは新車購入から8年もしくは16万km以内で、残容量が70%を下回った場合に特別保証が適用される。もちろん通常購入も可能だが、契約満了時の残価差額精算が不要なクローズドエンド型のリースも利用可能。こんな具合で、EVへのハードルを可能な限り低くしている。
それでも、まだ内燃エンジン車と同じ感覚で乗れるとは言えない。しかし究極のメルセデス・ベンツと呼びたくなるこの走り味を一度体験したら、生粋のファンほどそのハードル、飛び越えたくなってしまうのではないだろうか。