ベルサスは、ボルクレーシングに並んでレイズの大黒柱であり長寿ブランドである。そのベルサスがVMFとして鍛造モデルを発表。モード・フォージドというVMF C-01に迫る。
ベルサスを礎に生まれた新しいモード・フォージド
レイズといえば、ボルクレーシング勢を筆頭とした鍛造1ピースのスポーツホイール勢が思い浮かぶ。しかし、彼らは多種多様な方向性のホイールを提供するメーカーである。単一のホイールメーカーとして見ると、今や世界最大級のアイテム数となった。
ベルサスを母体にVMFとして誕生、鍛造製法の利点をデザインと乗り心地の向上に振っている。折り鶴のように繊細で複雑な造形を求めた結果の、滑らかな曲面や折り目、コンケイブデザインなどが見ものだ。
それを如実に示す一例として、ボルクレーシングと共に20年以上の歴史を重ねたVERSUS(ベルサス)に注目したい。 「対する」や「対決」という意を持つベルサスが見据えたお相手は他でもない、自社のボルクレーシングだった。では、ベルサスから新たに登場したVMF C-01(ベルサス ・ モード ・フォージド)は、いったい何を対決させたのか。
この銘柄はボルクレーシング譲りにしてレイズの核技術である鍛造製法で生み出される。それでもボルクレーシングと趣を異にするのは、鍛造製法の“強さ”を踏まえ、そのストロングポイントを活かして「デザインや乗り心地」に振ったホイールだということ。確かにディスク面を構成する2×5本スポークは、彫刻のように有機的なデザインで、また絶妙な塩梅で湾曲するアシンメトリー(ヒネリ系)となる。それらを引き立たせるカラーリングと相まって、ファッショナブルで遊びゴコロを感じさせる。機能一辺倒を貫いて抜群の性能を発揮し、その上でかすかな色気を感じさせるボルクレーシング勢とはひと味違う。
もちろん、単に奇をてらったデザインではなく、クルマ側から生じるNVHを、ホイール側で低減させる技術などが盛り込まれる。つまり、レイズ持ち前の鍛造技術を活かして、コンマ1秒のラップタイムを詰めるのではなく、ストリートを華麗に快適に走れるホイールである。ただし、ひとつだけボルクレーシングにも通じる大事なコンセプトがある。それは何より安全安心を第一に考え、ホイールに求められる性能を絶対に犠牲にしない、ということである。