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いわばホモロゲ目的の市販レースマシン技術をフィードバックしたような新世代トラベルケース【Style in motion 003】

1897年に英国で創業したラグジャリーブランド、グローブトロッター。当時の最先端素材であった“ヴァルカン・ファイバー”でハンドメイドされる、軽量かつ堅牢なトラベルケースはつとに有名だが、この度独自に開発した、カーボンファイバーで作り上げる、新世代トラベルケースが登場した。

※この記事はル・ボラン2019年11月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。

宇宙旅行時代のグローブトロッター〈カーボンファイバーのトラベルケース〉

アポロ11号による人類初の月面着陸から、2019年は50周年を祝す。その功績は、宇宙開発という人類にとっての大きな一歩であっただけではない。広大な宇宙から見た地球の荘厳な姿は、自分たちの住む世界をあらためて見直そうという気運とともに、世界平和や環境保護のムーブメントをもたらした。そして時代は激動の70年代を迎えたのだ。

グローブトロッターの新作「エアロ」は、もしブランド創業者が生きていたら宇宙への旅も考えるに違いないという発想から生まれたという。独自に開発し、東レ・カーボンマジック社の技術協力によるカーボンファイバー「エアロカーボン」を採用する。

左から、エアロ4キャビンケース(4ホイール)348,000円/エアロ4キャビンケース(4ホイール288,000円/エアロ2キャビンケース(2ホイール)278,000円

カーボンファイバーの採用といえば、近作では創業120周年を記念し、2年前に発表した「120」がある。F1で培われた英国ハイブテックス社の特許素材「カラー ド・カーボン」を用い、技術の最先端を追求した。今回はこの経験を生かし、軽量化やコストダウンも含め、実用性を高めた。いわばホモロゲーションを目的とした市販レーシングマシンの技術をフィードバックしたようなものだ。

だが従来のヴァルカン・ファイバーに比較し、約20%軽量化する一方、耐久性や耐衝撃性を維持するために落下テスト始め、さまざまな実験を繰り返した。結果、高強度かつ高弾力性を併せ持ち、素材の「エアロカーボン」は世界特許を申請中。さらなる熟成進化といえるだろう。

グローブ・トロッターが開発した新素材「AERO Carbon(エアロ・カーボン)」の最大の特徴は、カーボン・ファイバー・コンポジットの従来の特性である高強度に加え、高弾力性を併せ持つこと。

マットブラックのカーボンファイバーに、グリップにウッドをあしらったハンドルを組み合わせ、ブランド初の4輪ホイール搭載モデルも登場した。フューチャリスティックなデザインながら、PVCのコーナーパッドやビス留めといったレトロなブランドアイコンを違和感なく溶け込ませる。

今回のプロジェクトでは、ロンドンで活躍する日本人デザイナーの吉本英樹氏を招聘。東大工学部で宇宙工学を学び、英国RCAでデザイン工学博士を修了したキャリアを持ち、工学とデザインを融合する。

かつて抱いた前人未踏の地への憧れと挑戦は、さらに未来へと向かっているのだ。

トラベルケースに重要な耐衝撃性を兼ね備えた「AERO(エアロ)」が誕生した。ブランド初となる4輪ホイールモデルもスマートなデザインが魅力だ。

●グローブトロッター銀座 TEL:03-6161-1897 https://jp.globe-trotter.comcom

ル・ボラン2019年11月号より転載

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