関東平野を一望にするランドマークの山
今でこそ都心からは滅多に見えない筑波山も、江戸の街では、「西の富士山、東の筑波山」と称されるほど目立つ存在だったようだ。女体山と男体山、ふたつのピークを持つ端正な山の姿は、浮世絵などにも遠景のランドマークとして数多く描かれている。
その筑波山の南側中腹にあるのが風返峠である。ここでは県道42号と県道236号が交差しているほか、筑波山の北東麓へと延びる地方道も枝分かれしている。5本の道が一点で交わり、信号機まで設置されている全国的にも珍しい峠なのだ。
風返峠という名前は、このあたりを境に風の向きが変わることに由来するものだという。北関東からの山風や鹿島灘からの海風は、筑波の山塊によって行く手を遮られ、吹き分かれていく。この気まぐれな風がときとしてダイナミックな雲を生み、すばらしい雲海風景を演出してくれる。
アクセスガイド
県道42号のつくば市側から風返峠をめざす時は、常磐道のつくばIC経由が便利。国道408号(学園西通り)などを通って峠までは約27km/1時間弱の道のり。県道236号(筑波パープルライン)からアプローチするなら常磐道・土浦北ICが最寄りで、このほか、北関東道の笠間西ICや桜川筑西ICなどからも30分程度で行くことができる。風返峠からロープウェイ乗り場のつつじヶ丘駅までは2km弱、5分足らずで行ける。
Data【Route 27 筑波山・風返峠】
雲海遭遇率 ★★
雲海の季節 通年
◎所在地/茨城県つくば市、石岡市
◎ルート/県道42号・笠間つくば線
◎区間距離/約12km
◎最高地点/標高412m
◎冬季閉鎖/なし
【A】筑波山神社
筑波山そのものをご神体とする由緒ある神社
有史以前から人々の崇拝の対象となり、一説によれば約3000年の歴史を持つとも伝えられる筑波山神社。ここは縁結びや交通安全に御利益があるとして、1年を通じて多くの人が参拝に訪れる。女体山と男体山の頂上にも社があり、それぞれイザナミノミコト、イザナギノミコトが祀られている。
●参拝自由/つくば市筑波1-1/TEL 029-866-0502
【B】筑波山ケーブルカー
百名山の山頂まで10分足らずで登れる
筑波山神社と男体山山頂を結ぶケーブルカー(所要時間8分/片道590円)、つつじヶ丘と女体山山頂を結ぶロープウェイ(所要時間6分/片道630円)を使えば百名山登頂も簡単。風返峠が曇りや雨でも、山頂からは雲海が見られる可能性もある。山頂連絡路(徒歩15分)があるので気軽に縦走もできる。
●TEL 029-866-0611(筑波観光鉄道)/ケーブルカー 筑波山頂駅 TEL 029-866-0887/ロープウェイ 女体山駅 TEL 029-866-0210
【C】筑波山江戸屋
日帰り入浴もできる門前の老舗宿
寛永年間創業という300年あまりの長い歴史を持つ温泉宿。筑波山神社やケーブルカー乗り場のすぐ近くにあり、気軽に日帰り入浴も楽しめる。ペーハー度のきわめて高いアルカリ性単純泉は美肌効果のほか、神経痛や関節痛にも効能があり、大浴場のほか、緑豊かな庭に面した露天風呂も備えている。
●1泊2食付き16,200円〜/日帰り入浴料1,200円(11:30〜15:00)/つくば市筑波728/TEL 029-866-0321
観光情報
つくば観光コンベンション協会 TEL 029-869-8333
石岡市観光協会 TEL 0299-43-1111
文:佐々木 節/撮影:平島 格