海外試乗

【海外試乗】「アウディRS6アバント」唯我独尊のハイパフォーマンス

高い機能性とアウトバーンでの超高速移動を両立する高性能ステーションワゴンといえばアウディの十八番。その最新モデルとなるRS6アバントがアウディスポーツから送り出された。ご覧の通り、その出で立ちはシリーズ史上もっともアグレッシブ。隅々にまで磨き上げた高性能を全身で主張してみせる。

トップスピードは300km/hオーバー!

アウディが最初のRSモデル、RS2を発売してから今年でちょうど25年を迎える。当時は高性能ワゴンというカテゴリーすらなかったが、ポルシェの協力を得てハイチューンされた2.2L直列5気筒ターボ・エンジンは315psを発生、最高速度は262km/hに達した。当時、このクルマの開発テストを担当したのはWRCチャンピオンでポルシェのアドバイザーでもあったワルター・ロールで、「RS2こそ、真の意味でスポーツカーに対抗できる実用ワゴンだ!」と評価したほどだった。

マッシブなボディは標準モデルに対して片側で40mm拡幅化。リアディフューザー左右両側から覗くオーバルのテールパイプも迫力満点。

その25年後、アウディは最新のRS6アバントで高性能ワゴンの世界にさらなる金字塔を打ち立ててきた。パワーユニットは、RS7スポーツバックや別項で紹介しているRS Q8にも搭載される4LV8ツインターボで、最高出力600ps、最大トルク800Nmを発生。2075kgと決して軽くはないボディを0→100km/h加速3.6秒、最高速度280km/hで走らせる。さらに8500ユーロ(約105万円)のオプションでセラミックブレーキを注文すると、最高速度は305km/hにまで引き上げることができる。

エンジンはマイルドハイブリッド搭載の4LV8ツインターボで、トランスミッションは8速ティプトロニック。オプションで4WSやエアサスも選べる。

一方、このRS6アバントにはエコな面もあり、ベルト駆動のスタータージェネレーターによる48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載。このシステムは22km/h以下でアイドリングストップを行ない、負荷の少ない定速クルージング時にはエンジンを停止。その結果、100kmあたり0.8Lの省燃費化を実現、アウディの計算によると10万km走行時には1250ユーロ(約15万2000円)の節約になるという。

コクピットまわりを司るのはフルデジタルのタッチスクリーンで、古典的な機械式スイッチはステアリング上以外、もはや見当たらない。

リアルスポーツ並みの運動性能とワゴンの実用性を合わせ持つRS6アバント

アメリカ西海岸のマリブで対面したRS6アバントのスタイリングは、きわめてダイナミック。ハニカムグリルを持つ立体的なシングルフレームグリルの左右には、ダース・ベイダーの口元のような大型エアインテークをレイアウト。22インチホイールを標準とした結果、ボディは左右4cmずつワイド化されるほか、リアエンドではマットシルバーのフィニッシャーに縁取られたディフューザーの両脇から、太腿ほどの開口部を持つテールパイプが顔を覗かせる。

広く快適な後席空間、標準で容量565Lのラゲッジスペースなど、グランドツアラーとしての資質も十分。緩急自在の万能ワゴンだ。

テストドライブはマリブを出発して、パシフィックコーストハイウエイから山岳路に入る走り慣れたルートで、アップダウンとコーナーに富んでおり、速く走らせるには相応のスキル、そしてクルマには高度なシャシーセッティングが求めれられる。

ここで全長約5mのビッグワゴンは、そのボリュームをまったく感じさせない敏捷な動きでコーナーを駆け抜けてみせる。それをサポートするのが標準装備の可変ステアリングで、ごく自然なステアフィールを保ちながら舵角に合わせてリニアに応答。さらに、オプションで装備される4WSとの連携により低速域ではクイックな身のこなしを、高速域では安定した直進性を約束する。同じくオプションのエアサスは新採用となるZF製ショックアブソーバーと組み合わされるが、そのバルブシステムは旧型に比べ反応時間が早く、より自然な動きを実現している。

ホイールは21インチが標準。オプションのセラミックブレーキを選ぶと速度制限のリミッターが解除、トップスピードは305km/hに引き上げられる。

リアルスポーツ並みの運動性能とワゴンの実用性を合わせ持つRS6アバント。ドイツではすでにベース仕様が税込11万7500ユーロ(約1440万円)でオーダーを受け付けており、日本での発売は来年春を予定しているという。

【Specification】アウディRS6アバント
■全長×全幅×全高=4995×1951×1487mm
■ホイールベース=2930mm
■トレッド=前1668、後1650mm
■車両重量=2075kg
■エンジン種類=V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×外径=86.0×86.0mm
■総排気量=3996cc
■圧縮比=10.0
■最高出力=600ps(441kW)/6000-6250rpm
■最大トルク=800Nm(81.6kg-m)/2050-4500rpm
■燃料タンク容量=73L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前後5リンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後275/35R21(10.5J)
お問い合わせ
アウディジャパン 0120-598-106

フォト=アウディAG/AUDI AG ル・ボラン2020年2月号より転載

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