海外試乗

【海外試乗】「メルセデス・ベンツGLB 250 4マチック」待望のコンパクト7シーターSUVが登場!

メルセデス・ベンツのラインアップに、久々のブランニューモデルが登場した。GLBと名乗るこのコンパクトSUVは、コンパクトなボディに広い室内空間と優れたユーティリティを持つBクラスの特徴に加え、ホイールベースを延長し、ゆとりの7名乗車を実現。ジャストサイズのこういうクルマを待ってました、という方、必見です!

久しぶりのブランニューモデル

次から次へとカタチや機能やプライスレンジを変えながら、いまも増殖の一途を辿るSUVにもブームのようなものがあって、現在のトレンドは3列シート/7人乗りだという。これはアメリカに端を発したものと言われ、例えば近所に住む子供の友達も乗せてサッカーの練習の送迎に使うとか、“シェアライド”の普及に伴う傾向らしい。あるいは、4人家族がおじいちゃんとおばあちゃんと共に夕食に出かけようと思ったら、3列目シートがあると1台でこと足りるから確かに便利である。

AMGのGLB35は306ps/400Nmものパワーを誇るので、動力性能に不満があるわけもなく、ややオーバースペックと思えるほど力強い。

もうひと列、シートを増やそうと思ったら、物理的に大きな箱(=ボディ)が必要となるので、これまでは大きなSUVを中心に3列シート仕様が用意されてきた。しかし最近のSUVは全幅が2mを超えるなど“本当に大きい”から、運転に慣れている人だって躊躇する時も少なくない。

GLB250でも224ps/350Nmを発生するので、加速力や瞬発力は必要にして十分である。4マチックの制御も、ドライバーの意志を邪魔しない完璧なものだった。

メルセデス・ベンツGLBの最大のウリは、コンパクトクラスで3列シート/7人乗り仕様を備える点にある。ボディスペックは全長4634mm、全幅1834mm、全高1659mmで、GLAよりも長く広く高く、GLCよりも短く狭く、でも高い。車名から想像がつくように、GLBはA/Bクラスと同じエンジン横置き/前輪駆動のプラットフォームを使っている。ところがわざわざホイールベースを100mmも延長した。ロングホイールベースにして、ひとつ上のクラスのGLCよりも高い全高を備えたのは、3列目シートの居住性を考慮したからだろう。参考までに、現行Aクラスと共にデビューしたプラットフォームを使うのはA/Bクラス、CLAクーペ、CLAシューティングブレーク、Aクラスセダン、そしてこのGLBで、GLAのみがいまだ旧型だが、昨年12月11日に欧州でフルモデルチェンジが発表された。

この3列目シートにはカップホルダーやUSBソケットだけでなく、“註釈”も付いている。「身長168cmまでなら十分な空間と安全性も確保している」というもの。衝突実験の結果も踏まえてのアナウンスだそうで、こういうところはメルセデスは実に誠実だと感心する。

インテリアは新型A/Bクラスの基本的デザインを踏襲し、モダンでアバンギャルドにまとめられている。3列目シートも大人がちゃんと座れる居住空間を確保している。

ボディは小さいほうがいいと思っていた方にはお薦めの1台

日本への導入時期や仕様はまだ決まっていないそうだが、GLB200/GLB250 4マチック/GLB180d/GLB200d/GLB200d 4マチック/GLB220d 4マチック/AMG GL354マチックの7モデルが用意され、エンジンはガソリン/ディーゼルともすべて4気筒ターボとなる。トランスミッションはGLB200(7G-DCT)以外は8G-DCTが標準装備される。今回試乗できたのは、GLB250 4マチックとAMG GLB354マチックの2モデルである。

A/Bクラスの出来からすれば、GLBもそこそこの仕上がりになっているであろうことは容易に想像が付いたが、何より背が高いので、ばね上の動きや重心位置による操縦性や乗り心地への影響が少し心配だった。ところが実際には拍子抜けするくらいよく出来ていたのである。

オンロードでは優れた乗り心地が印象的だ。大きなタイヤを履いているからばね下はそれなりに重いはずなのに、バタバタするようなことはほとんどなく、きちんと路面に追従する。電子制御式ダンパーの効果もあるだろうけれど、速度依存の少ない乗り心地はメルセデスのセダン系に似ている。こうした乗り心地はGLB35でも大きく変わらず、GLB250の“SPORT”がGLB35の“COMFORT”に相当するくらいのセッティングで、GLB35の“SPORT”でも同乗者から苦情が出るほどの硬い乗り心地ではない。ばね上の動きがほどよく抑えられる減衰力となっていた。

ラゲッジルームは、3列目を畳んだ5人乗りの状態で570Lを確保し、2列目も畳むと最大で1805Lまで拡大。

エンジンを横置きする4マチックは前後の駆動力配分を100:0から50:50の範囲で随時可変する仕組みだが、GLBは“ECO/COMFORT”で80:20、“SPORT”で70:30、“OFFROAD”で50:50をデフォルトとしている。特設のオフロードコースでの想像を絶する走破性に驚いたが、エンジニア曰く4マチックなどのメカ的要因というよりも、電子デバイスのプログラミングでここまで走れるようになってしまったとのこと。オプションの“オフロード・エンジニアリング・パッケージ”が装着されていたとはいえ、このシャシーのポテンシャルの高さがうかがえた。

正直なところ、GLBがここまでよく出来ているとは思ってもいなかった。7人乗りのSUVでもなるべくボディは小さいほうがいいと思っていた方にはお薦めの1台である。

【Specification】メルセデス・ベンツGLB 250 4MATIC
■全長×全幅×全高=4634×1834×1659mm
■ホイールベース=2829mm
■トレッド=前1605、後1606mm
■車両重量=1670kg
■乗車定員=7名
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1991cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=224ps(165kW)/5500-6100rpm
■最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/1800-4000rpm
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■トランスミッショッン形式=8速DCT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後215/65R17(6.5J)
お問い合わせ
メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610

 

フォト=メルセデス・ベンツ日本/Mercedes-Benz Japan ルボラン2020年2月号より転載

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